スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

新連載「賀川豊彦」のぶらり散歩ー作品の序文など(第6回『人間苦と人間建築』)

1

冬の昆陽池もいいですね。



              「賀川豊彦」のぶらり散歩

                ―作品の序文など―

             第6回

        人間苦と人間建築

          大正9年4月9日  警醒社書店 433頁


 今回の『人間苦と人間建築』は、拙著『賀川豊彦再発見―宗教と部落問題』の裏表紙にも載せさせていただいたことのある、今日では広く知られて「阿修羅像」が口絵に入っている書物ですが、本書の姉妹編となっている『精神運動と社会運動』とほぼ同じ大型菊判の箱入り上製本として刊行されています。


 賀川はこの大きな論文集を「私の貧民窟改良事業の同労者なる馬島僴氏、武内勝氏、また私の信仰の友なる間野松蔵氏、木村甚三郎氏に捧げ」ています。馬島と武内は周知のイエス団の同労者ですが、間野と木村はいずれも賀川が属していた日本基督教会の長老であったことが最近(2009年)刊行された『主恩教会90年の歩み』の中に纏められている詳しい年表で知ることができました。


 なお既に別のところで書いたことですが、この『主恩教会90年の歩み』には、賀川とハルが結婚式を挙げた、当時「山本通5丁目」にあった「神戸日本基督教会」の集合写真(1908年)が掲載されています。


 これまでは、賀川の結婚した教会は、大方の見方では、神戸の「中山手7丁目」に建つ教会が考えられてきましたが、この年表によれば「山本通5丁目」にあったこの教会が「中山手7丁目」に新会堂を建築して移るのは大正5年12月のことのようですから、豊彦とハルが結婚式を挙げた大正2年5月27日の頃は「山本通5丁目」にあった教会であることが、ここではっきりと特定できるように思われます。


 ですのでここに、『主恩教会90年の歩み』の冒頭のグラビアを収めて置きます。
 上の写真が「山本通5丁目」の時の教会で、下が「中山手通7丁目」の教会のようです。



2



本書には、冒頭の「苦痛の哲学」をはじめ、有名な「貧民窟十年の経験」や「人間建築論―社会改造の精神的動機」など、『貧民心理の研究』以後の賀川の広範な思索の跡をたどることのできる重要な論文が入っています。


ともあれ早速、英文の表紙と「阿修羅像」と、賀川豊彦が書き綴った「序」を取り出してみます。そして最後に原書の「序」のスキャンをUPいたします。



3


4


5





                    


 私は苦悩の中に、感謝すべき数々を発見しよう。人間苦はまた人間建築である。苦悩の無いものに、創造は無い。私は苦痛そのものまでも黙示として感謝しよう。

 こんなに考えて、私は凡ての苦悩の中に静坐する。貧乏も、病苦も、凌辱も、監獄さへも、私には与えられたる大きな黙示である。私はその凡てに向かって感謝する。

 苦痛中にあって相愛することは善きことである。また愛せんがために、苦しむことも善きことである。愛は苦痛をさえも、戯曲化してくれる。

 しかし苦痛は事実である。社会悪の凡ては事実である。それについて、我等は無頓着ではおれない。しかい苦痛と悪を排除するために、更に新しき苦痛と十字架を覚悟せねばならぬ。母性と、愛と、犠牲のないところに社会は産まれない。それで、苦痛を救うがために、我等は更に新しき苦痛を見る。そして結局は、苦痛の聖堂において、やはり十字架の礼拝されている理由を理解する。

 この意味において―否、凡ての点において飛躍する意志にとっては、凡てが歓喜である、劇曲である。生命は、無償で、観覧し得る大きな芝居である。苦痛さえも、死さえも、感謝すべき、その一幕である。

 ただ、そこに、我等は、その劇曲を開展させる、宇宙と人間の意志が、愛と光明に向いているか、否かを点検すれば善いのである。

 飛躍するものには、凡てが、劇曲である。

 この書『精神運動と社会運動』の続編とも見るべきものである。主として私が過去一年間に各種の新聞雑誌に発表したものの一部である。

 読むべきはずのものも、よう読まず、この書は労苦と、貧困と、眼病と、繁忙の中に生まれた。しかしそのことについても、私は感謝しつつ、この労作を送り出そう。

 私の労作は、私の祈祷である。私はその凡てに感謝する。

    1920年2月20日
                                      著      者
                                         神戸貧民窟にて



6


7



スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

keiyousan

Author:keiyousan
このブログのほかに同時進行のブログもうまれ全体を検索できる「鳥飼慶陽著作ブログ公開リスト」http://d.hatena.ne.jp/keiyousan+toritori/ も作ってみました。ひとり遊びデス。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。