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新連載「賀川豊彦」のぶらり散歩―作品の序文など(第8回『小説・死線を越えて』)

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伊丹「冬の昆陽池」のぶらり散歩。暖かい日にまた出掛けてみたいデス。



             「賀川豊彦」のぶらり散歩(第8回)


                ー作品の序文などー


                小説・死線を越えて


             大正9年10月3日 改造社 551頁


 『小説・死線を越えて』が出版される5ヶ月前に、賀川ハルの名著『貧民窟物語』が福永書店より出版されています。そのことについて、私にとって賀川に関する最初の書き下ろし『賀川豊彦と現代』で、短く次のように書いていますので、参考までにその部分をスキャンして置きます。


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 この小説は最初、雑誌「改造」第2巻第1号(大正9年1月1日)から第2巻第5号(大正9年5月1日)まで連載したあと、小説に仕上げられていきますが、その詳細な経緯を、最も信頼のおける証言者・村島帰之氏が書き残していました。

 それは、兵庫県立労働研究所発行の機関誌『労働研究』第149号(1960年7月号)ですが、村島氏は当時その雑誌に「労働運動昔ばなし」を連載していて、この号は第7回目で「『死線を越えて』の裏話―賀川豊彦追想録」と題された論攷です。賀川が1969年4月23日に死去した後すぐに執筆したものでした。

 重要な証言ですので、この村島氏の連載はテキスト化する必要がありますが、ここでは先ず、スキャンしてお目にかけます。判読が難しいかもしれませんが、とりあえず。


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 この『小説・死線を越えて』は、当初から続編を念頭にして執筆していたかどうかはわかりませんが、大正10年11月28日には『死線を越えて・中巻・太陽を射るもの』の表題で出版されます。そして少し時をおいて大正13年12月1日に『死線を越えて・下巻・壁の聲きく時』が完結いたします。

 この3部作はいずれも爆発的な読まれ方をしたことは、前記の村島氏の証言にある通りです。そして上中下の3巻は、昭和2年8月3日に改造社より箱入り普及版(定価壱圓)が出ます。また戦後にも早々に、昭和23年2月20日には、上巻の『死線を越えて』が愛育社より出版されました。

 ここでは、初版『小説・死線を越えて』と普及版(上巻)、そして愛育版をUPします。その愛育版には、賀川の「改版の序」が添えられていますので、これを収めます。


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                    改版の序


 花はしぼみ、葉は散る。今日の花嫁は、しばらくして老婆に化して行く。さらばといって、常住不動の世界に住めば、退屈してあくびが出る。絶対者が有限の世界に、愛欲の表現を持ち、進化と発展の芸術に、生と死をもって色彩をつけてくれた所に、人生の妙味はある。

 死線を越えてみれば、人生は儲けものである。一切を空とあきらめて、そこに新しく贖罪愛の舞台を演出すれば、それがどんな隅っこの芝居であっても、味わいがある。

 死線を越えてみれば、人生のつまづきも、冒険も、怨恨も、争闘も、神の大きな御手のうちに結論を見出すべき生命芸術である。それは夢としては余り深刻すぎ、全部が誤謬であるとするのは余りに現実すぎる。勿論全部が神の責任ではない。私と私の祖先に責任がある。しかし舞台は全能者が張り出してくれた舞台であるだけに、全能者も、また責任を持ってくれる。

 舞台監督は神である。役者が余り傷つけば、繃帯をしてくれる。要するに人生は退屈しないように出来ている。邪淫と暴力と異端者が脱線を始めるとすぐ人生の空回りが始まる。そして血の噴火がおきる。実在者のうづきの聲が聞こえてくる。

 1900年前、パレスティナの砂漠の一角における大工イエスの憂愁は、実在者のもだえを人間の魂に奪い取った。それ以後、歴史の鼓動は大工イエスの脈拍を標準として数えることになった。

 だが、日本はナザレの大工の血脈を充分受け継がないうちに、衰亡してしまった。これからそのナザレの大工の血をもって輸血する必要があろう。日本も今度は死線を越えねばならぬ。一旦滅びた日本は、墓を打破って復活すべきだ。その復活のために私は再びこの小著を改版することを喜ぶ。
日本よ、早く死線を越えてくれ!

 1948年3月28日
                                          賀川豊彦
   



次は、原書のスキャンです。


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 戦後本書は角川文庫や現代教養文庫(社会思想社)で、またキリスト新聞社などでも出版されて読み継がれ、最近もPHP版や鳴門市賀川記念館版もつくられていることはご存知のとおりです。





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