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新連載「賀川豊彦」のぶらり散歩ー作品の序文など(第24回『地球を墳墓として』)

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今日の「ぶらり散歩」は、「新川運河・キャナルプロムナード」です。この近くに、賀川豊彦生誕の地「島上町」があり先年その記念碑が建てられました。




             賀川豊彦」のぶらり散歩
   
   
               ―作品の序文など―


                 第24回

                地球を墳墓として

          大正13年6月21日 アテネ書院 446頁


 前著『愛の科学』が出版されて一ヶ月も経たない6月21日に本書は出版されています。
 大正13年の3冊目の著作として、「アテネ書院」という新たな出版社で出しています。
 『愛の科学』と同じく450頁に近い大著で、もちろんこれも箱入り上製本です。


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 手元の原書は、6月23日に出た第6版となっていますが、よく見ると三日目に6版というのは間違いではないかと思われるほどの、これまたモウレツな読まれ方です。

 また、奥付の著者印も、前回に続いて「串」印になっています。

     
            *       *


 本書の「序」の末尾には、「1924・6・11」「東京本所松倉町バラックにて」と記されていますが、本文に収められている作品の執筆の日付を見ると、半分ほどは「神戸時代」の作品が含まれています。

 特に本書の中の注目すべき論文「法華経を読むー法華経とイエスの福音」は、関東大震災の起きた当日、「1923年9月1日」に書き上げられています。

 なお、本書は前掲『雷鳥の目醒むる前』に続く「散文詩」「感想」「随筆」を収録した名品ですが、これの「改版」や「新版」の形跡はないようです。


                 *     *


それでは、賀川の「序」をスキャンいたします。


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補記(2012年3月4日)

「序」の取り出しができていませんでしたので、遅ればせながら、ここに収めて置きます。




                  地殻を破って


                    序


 わたしの魂よ、強く生きよ。善と美に対して強く生きよ。春先に麦の芽が黒土の地殻を破って萌え出づる如く強く生きよ。混乱を越え、争闘と、怨恨と、暴行と、脅迫と、病弱を越えて強く生きよ。

 わたしの魂よ、正しくあれ! 常に張り詰めで居れ。雪崩れが落ちて来ても、強くあれよ。わたしの魂よ、穽に陥れられてもおそれるな。凡てを破って成長せよ。

 おまへは一人居つてはならぬ。痛める魂を労はり、傷つけるものに膏を塗れ。おまへは病児の友、敗者の助け手、盲者の手引き、白血球の仕事をせよ。強くあれ、私の魂よ、民衆は土耳古犬の様に吠えたぐつて、階級闘争を叫ぶ時に、おまへは忘れられても、傷つける霊の為めに静かこ解放を説いて来い。

 おまへは代議士になってはならぬ。おまへにもう幸にして官吏にはなれぬ……前科が二犯出来たから。牧師にも向かない。専門学校の先生にも駄目だ。おまへは新聞記者にもなれぬ。おまへは一生辻の乞食と淫売婦を女達として送れ! おまへは一生貧民窟を出てはならぬ。おまへは一生辻に立て! 路傍説教をやめるな! おまえには教会が無いから辻の石の上に立って、解放と罪のゆるしの福音を説け!

 わたしの魂よ、神戸に貧民窟が無くなつたなら大阪に移れ! 目本に貧民窟 が無くなったなら支那に移れ! おまへの魂は一生貧民窟に縛りつけられて居るのだ。

 雪崩のあつた後に空か真青に澄むやうに、私の魂の上に空か晴れる。私は地殻を破って甦る!

 魂よ、マッチ箱生活を理想とする安住の子の魂よ、おまへは落付いて内なるものの爆発する声を聞け! 神は内なるものである。

 魂よ、内なるものがおまへに力附ける。おまへは強いものだ! 人間の子の小使として充分労働にに耐え得る。ナザレの大工のやうにおまへも地上を廻っで善と労働をして来い。妥協のなき愛に生きて来い。

 私の魂は強く生きる。噴火口の烟の如く如く海洋の潮の如く、強く生きる。私の霊は自殺することが出来ない。死も棺桶も蓋をめくって廻る。死を飛び越えた私の魂は墓地を廻って棺桶の蓋をめくつて廻る!

 出て来い、凡百の魂よ、死の床より起きで来い! 地殻を踏み破って立ち上って来い! 起床の喇叭が鴫るでは無いか! 永き眠より醒めよ! 罪と憂鬱の虜より解放せられよ! 因循と、麻酔と、善に対する虚弱より醒めよ!

 私は道徳に酔ふ! 外側の道徳は振り捨てて了った。内側で発酵した善が私を酔はしてくれる。酒も飲まないのに私はほろよい機嫌だ! 神と道徳の耽溺者は墓場から、地獄にあいそう愛憎つかされて、神に酔払って此世に迷い出て来た!

 棺桶の中に安眠するものよ出て来い! 繭よ、蛹よ、墓地を噛み破れ! 発明せよ! 爆発せよ! 死の扉を打砕け!

 魂よ、白日を仰いで、昇天せよ!

 百万の太陽を浴びつつ、翼なくして空中にで踊れ!

 内なるものが爆発して居るではないか!
                                  賀 川 豊 彦
                                    神戸貧民富にて














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