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新連載「賀川豊彦」のぶらり散歩ー作品の序文など(第31回『賀川豊彦氏大講演集』)

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一昨日、賀川記念館をお訪ねしたとき、玄関に飾られていたお花です。おひな祭りにを前に、ひな壇の飾りつけもはじまっていましたよ。



             賀川豊彦」のぶらり散歩   


                    ―作品の序文など―

               第31回


               賀川豊彦氏大講演集


          大正15年4月10 大日本雄弁会講談社 384頁


 大正15年4月に「大日本雄弁会講談社」から初めての出版となった本書『賀川豊彦氏大講演集』は、「序」にあるように、大正7年より14年夏までの講演を集めたものです。収められている18の講演のうち6つほどが神戸時代のものが選ばれています。全集にも入っていますが、重要な文献のひとつです。

 この「大日本雄弁会講談社」は、本書の刊行を手がけたあと、ベストセラーとなった賀川のあの名著『一粒の麦』などの出版でも知られています。

            *              * 

これも箱入り上製本として出版されて、手元にあるものは、大正15年4月の初版から7ヶ月後の11月発行の13版です。扉には、2葉の賀川の写真が収められています。


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 それでは、今回も本書の「序」を取り出してみます。



                    


 この講演集は、大正七年より同十四年夏までの、私の講演のあるものを集めたものである。

 私は廿一歳の時に蓄膿症の手術を受けて、鼻腔に穴を穿ち、大正十一年二月悪漢に門歯二枚を歯根まで打折られて以来、講演をするに、いつも生理的の不楡快を感じてゐる。それで、演説はどちらかと云へば嫌ひである。たヾ要求せられる儘に、やむを得ずしてして来た。

 講演と云ひ、座談と云ひ、群衆心理を加味したものであるから、普通の著作と違って、民衆の動きかたを知るには、実に善き材料である。この意味から云へば、私のつまらない講演集も、大正時代の民衆を研究する少しの資料になるかも知れない。

 私は、今日まで、民衆におもねるようなことは少しも云ふて来たことはない。私はいつも民衆の人道的精紳に訴へて来た。

 それで時には痛罵の的になったこともある。然し、私は、わが日本を愛するが故に、民衆を諌止することを敢てする場合がある。民衆は前に進めることは比較的容易であるが「止れ」を命ずることと「反省せしむること」は、実に困難である。私は今日まで主として、民衆の反省と、人道的向上を説いて来た。この点に於て、私の講演は、一種の私の良心運動の一部分をなしてゐろと云ふて善い。

 私の書物を読んでくれる人は多くあるであらう。然し、私が「良心運動」の一兵卒として、良心それ目らを叫ばしめて居る言葉を聞いてくれる人も、私に取っては善き友人である。

 この講演集の凡ては速記か、筆記によったもので、私自身が書いたものは一つも無い。私は、それが面白いと思ふてゐる。

 そのまた速記者なり、筆記者の数も二三人ぢゃない。大勢である。
 然し、そこに群成的時代精神を知るに面白い糸口があると思ふ。聴衆は永遠に生きてゐる。そして、私は日本の聴衆が日一日、良心の発芽に敏感であって欲しく思ってゐる。
 それは、それ自身、政治であり、経済であり、教育であり、科學である。
 人間は人間の為めに生きてゐるのだ。そして人間は、良心の為め生きてゐるのだ。
 良心は人間の最後の芸術であり、最後の政治である。
 私の講演集は、その為めに産れ出づるのである。

 その言葉は拙ないであらう。その響きは非芸術的であらう。然し私はどうかして、この國を、聖浄の輝く國にしたい一念より、私の魂を火にして、叫んでゐることだけを、この書の友人に知って貰ひたいのである。

 日本よ、高まれよ、叡智と、聖浄の為めに高まれよ! 
 五百五十ケ所の遊郭を葬り、十五億円の酒を断ち、百万の窮民を救ひ、
 二百四十万の労働者と二千万の小作人を解放する日よ、一日も近づけ! 
 これが、私がこの書を世に送り出す唯一つの望であり、祈りである。

  1926年1月30日

                          東京府下松澤村アンペラ小屋にて

                                   賀  川  豊  彦




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