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新連載「賀川豊彦」のぶらり散歩ー作品の序文など(第79回『乳と蜜の流るる郷』)

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今回も上の写真は『賀川豊彦写真集・KAGAWA TOYOHIKO』より。



賀川豊彦」のぶらり散歩
   

―作品の序文など―

      第79回

  乳と蜜の流るる郷


     昭和10年11月6日 改造社 472頁


 改造社より出版された小説『乳と蜜の流るる郷』は、産業組合中央会の機関誌『家の光』の昭和年1月から昭和10年12月号まで24回にわたって連載された作品で、連載中から大変な話題を呼び、『家の光』はこれで百万部を越える勢いで愛読されたと言われています。

 これは昭和43年4月に「家の光協会」より、当時の「読者の声」や関係者の思い出などを加えて再刊されています。

 ここでは、はじめに改造社の初版の表紙と扉、つづいて家の光版のケースの表紙、そしてそこに収められている写真などをUPして置きます。特にそこには「作者の言葉」も添えられていますので、「家の光」出版部の「発刊のことば」と共に、ここに加えて置きます。



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              長編小説 乳と蜜の流るる郷

            
                  作者の言葉


――農村の荒慶は極度に達し、都会の混沌は言葉に尽くせない。それを救ふ道は産業組合の外には無い。

 しかし現下の産業組合が、果して理想的形態を持っているかどうか? 作者は自ら体験した苦い産組運動を通して茲に新しき理想を小説の形で示さんと念願してゐる。

 東北の一寒村に育ち共愛互助の運動に恵まれぬ一青年が、如何に苦心して自己の村を再建するか? それにまつはる愛慾の軌道は何を示すか。作者は先づ『心田』より始むべきを信じ、農村に於ける良心生活の発展史を如実に描いて、三千万農民と、日本の都市産業組合運動との関係を、文明再建の立場から読者に理解してもらはうと希望している。

 時は非常時だ! 反産運動は今や、沸騰点に達してゐる。日本は産業組合の外に救ふことは出来ない。そして、この運動こそ最も劇的な問題を提供するのだ。

                (昭和八年十二月号家の光掲載「本誌新連載読物の予告」より)



  
          「乳と蜜の流るる郷」発刊にさいして


 賀川豊彦先生の「乳と蜜の流るX郷」が林唯一画伯のさし絵入りで、『家の光』誌上に連載されたのは昭和八年から九年にかけての二か年であった。

 時あたかも産業組合拡充五か年計画が発足しており、この時期は『家の光』が発刊以来はじめて百万部台の普及をみせた飛躍的発展期にあたるが、この部数の飛躍的発展も、この一編の小説の好評に負うところ、が少なくなかったことは、当時の関係者の等しく認めるところであり、『家の光』の歴史にも特筆すべき記念碑とされている。

 時は移り、戦後の農地改革を契機として、日本の農村は大きく変わり、当時の”窮乏の農村”は著しく姿を変えたが「乳と蜜の流るる郷」の理想郡がすでにうちたてられたのではない。わが国の農業・農村には、今日なお協同組合運動の成果にまつ数多くの難問が山積し、運動推進のためには「乳と蜜の流るる郷」に盛られた理想を追う情熱が強く連動者に要求されている。

 かつて窮乏の農村を目前にし、若くして産業組合運動の第一線に挺身された先輩諸氏が、当時いかにこの一編の小説によって、運動者としての情熱をかきたてられたかは、いまなお多くの人々によって若い運動者に語りつづけられているが、現在すでにこれを読むに手だてなく、いたずらに神話的な存在として話題を提供するのみにとどまり、多くの先輩諸氏が協同組合運動の第一線から退かれる近い将来、やがて忘れ去られるおそれなしとしない。

 この小説の発表後三十五年を経た今日、あえて本書を発汗する理由は、まさに以上の二点に基づくもので、先輩諸氏には当時を懐旧していただくよすがとして、また若い運動者には先輩諸氏の労苦に思いをはせて、現在を生きる上に何らかの裨益するところを発見していただくことを切に念願するものにほかならない。

 終わりに、当時の関係者米倉龍也、宮城孝治、梅山一郎、渡部雄晤、二宮義雄、三浦政衛の諸氏が当時を偲ばれて本書のために一文を寄せられたことにたいし、深甚の謝意を表する次第である。

  昭和四十三年三月
                            家の光協会 出版部



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