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新連載「賀川豊彦」のぶらり散歩ー作品の序文など(第87回『処世読本』)

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上の写真も全回に続いて『賀川豊彦写真集・KAGAWA TOYOHIKO』より。



賀川豊彦」のぶらり散歩
   

―作品の序文など―

      第87回

 処世読本

   昭和12年5月5日 実業之日本社 404頁


 本書『処世読本』は、昭和8年6月に『東雲は瞬く』を刊行した実業之日本社によって4年ぶりに刊行された作品です。これも『賀川豊彦全集』に収められませんでしたが、好著の一冊でもあります。

 ここでは、ケースのおもてと本体の表紙、扉と賀川の写真、そして「序」並びに巻末にある二冊の広告も共にUPいたします。



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                 『処世読本』

                      

 眼が醒めた時、それは真夜中であった。周囲は真暗闇で、硝子越しに見える空に一つの星さへ見えなかった。

 だが、私は淋しく無かった。光は私の胸底に火皿に灯っていた。

 私は楽観もしなければ、悲観もせぬ。私の胸底に神より受けた灯が点っている間、私は、少しも悲観はしない。必要ならば、私はその火を口火として、世界に火をつける勇気を持っている。

 私の眼が醒めた時、周囲は暗かった。然し私は、少しも悲観はしない。胸の火皿に沈殿する埃をかきのけて、灯心の先をつき出すことを忘れないだけの用意はある。

 列國は再び軍備を急ぎ、民族は闇を利用して憎悪の福音を播く時、私は心細い胸底の火皿に油を充して、光の打消されないように、身を以て風除けを作る。

 迷妄は深い。邪淫は扈る。蛙聾の偽預言者は絶對者を嘲笑し、聖者は石にて打たれ、暗黒は地上を支配する。それでも私はまだ私の胸底に秘められた光明に信頼を投げかける。私に悲観も無ければ楽観も無い。私にあるのはこの至聖者より輿へられた灯への信頼あるのみだ。

 発明は進み、機械は進歩する。ただ進捗しないのは、人類の意識内容の拡大性である。
 私は悲観楽観を超越する。もし悲観すべき暗黒の世界に置きざりにされたにしても、光明への復帰の糸筋を私は知ってゐる。

 人体の血は汚血を肺によって浄化して貰ひ、また心臓を遠して四肢の指先まで廻して行く。その浄化されたる赤血は疾病を癒し、傷口を縫ひ合せる力を持ってゐる。私は霊魂の世界にも同じ贖罪の法則の働いてゐることを信ずる。

 部分が部分の為めに悩むことを犠牲と云ふ。全体が部分の為めに犠牲になることを贖罪愛と云ふ。神はその贖罪愛の持主である。

 私は血を持って神の贖罪愛を啓示した大工イエスに、新しき人類復活の糸口を発見する。

 罪のいや増すところ恩寵もいや増し、暗黒の深まる所、星の輝きは一層増す。実にこの宇宙の神の摂理こそ、私に取りで唯一の處世道である。

 この書は私が十数年間瞑想して来たことを、その都度、友人達が筆記してくれたもの
である。で私はここに新しく友人達の好意を感謝し、世の多くの同志達が一層神に就い
ての信愛を増さんことを祈るものである。

  昭和十二年三月復活祭の前日

                           賀  川  豊  彦

                                 武蔵野の森にて



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