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新連載「賀川豊彦」のぶらり散歩ー作品の序文あなど(第93回『第三紀層の上に』)

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上の写真は今回も『賀川豊彦写真集・KAGAWA TOYOHIKO』よりUP。



賀川豊彦」のぶらり散歩
   

―作品の序文など―

      第93回

 第三紀層の上に

  昭和13年6月20日 大日本雄弁会講談社 384頁


 本書『第三紀層の上に』は、雑誌『雄弁』講談社の昭和12年1月から昭和13年4月までの「長編小説・第三紀層の上に」に連載された作品です。この出版社からは『一粒の麦』『海豹の如く』『その流域』などを出して話題となりました。

 ここでも本書のカバー・表紙などと共に賀川の「はしがき」を取り出して置きます。そして武藤富男氏が『賀川豊彦全集ダイジェスト』に短く書いている「解説」も収めます。



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               『第三紀層の上に』

                 はしがき


 北氷洋にすら、エスキモーは住む。天与の国土に、人類の住めない理由は無い。
 ゴビの沙漠にすら、蒙古人種の住んでゐるものを、天与の国土に、人間の住め無い理由は無い。
 日本は、海国で、若も山国だ。八割五分は山を以つて蔽はれ、村落は山と山の間を流れる渓谷に多く作られてゐる。
 然し、その八割五分を占める山岳地帯は、このまま捨てて置いてよいか? 瑞西ではアルプスの七千フィートまでを、牧場として、山の斜面の雑草を食料に変へてゐる。日本の国土には、支那大陸には珍らしい、第三紀層が発達してゐる。その山の絶頂は、準平原と称する高原地帯を成してゐる。
 この準平原を征服し得るなら日本の耕地は、一躍倍加するであらう。水平線に近い渓谷の流域に眼をつけると共に、日本人は準平原である第三紀層に眼をつけるべき筈である。
 然し、豊葦原の開拓者か苦しんだ以上に、第三紀層を開拓する大和民族は、新しい覚悟を以って突進しなければならない。殊に、霊魂の第三紀層を拓くためには一層の努力が必要である。
 人間の第一紀は、肉の世界であった。人間の第二紀は、霊の世界であった。人間の第三紀層に於て、我々は霊肉融合の世界を顕現せねばならぬ。そこに於て、肉は霊の表象であり、肉は霊魂の言葉として、我々に物語られねばならぬ。
 神の言葉である物的宇宙は、神秘なる愛を我々に物語る。
 行け! 豊葦原の若人よ、霊魂の第三紀層を開拓するために、日本国土に発達したる第三紀層を開拓しようではないか。

  昭和一三・五・二九 
                              賀 川 豊 彦

                                 大連満洲牧場にて




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        武藤富男著『賀川豊彦全集ダイジェスト』320頁

            『第三紀層の上に』について


 日本の全面積の八割五分は山岳地帯であり、山岳の絶頂は淮平原である。これは第三紀層に属する。日本人はこれを開拓しなければならない。更に進んで霊魂の第三紀層を開拓することを要する。人間の第一紀は肉体、第二紀は霊魂、第三紀は霊肉融合の世界である。

 こうした観点から、青森県三戸郡員守の寒村に生まれた一青年の青年期における流転の生活を描き、壮年期における郷里の開発を記しているのが、この物語である。

 これは典型的な賀川流小説であり、農村復興という目的をもち、想像力豊かなロマッチシズムに織り成され、筋の運びは奔放自在、少しぐらい不自然であっても意に介しない。岩手、青森の両県を舞台としているのは、昭和八年彼が三陸地方の地震と海嘯の被害を見舞った時の印象によるものであろう。樺太の叙述は恐らく北海道訪問の途次、見聞した経験を記したものであり、草津の状景は大正十五年七月、眼病の後、草津に静養した時の観察によるものである。主人公のモデルについては判明しないが、恐らく東北に住む篤農家青年の生活からヒントを与えられたものであろう。八戸に住むクリスチャビ医師藤田伊作先生は武藤健の父武藤一明をモデルにしたものと思われる。
 





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