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新連載「賀川豊彦」のぶらり散歩―作品の序文など(第100回『我が闘病』)

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今回も上の写真は『賀川豊彦写真集・KAGAWA TOYOHIKO』より。




賀川豊彦」のぶらり散歩
   

―作品の序文など―

      第100回

賀川豊彦・杉山平助共著『我が闘病


  昭和15年8月15日 三省堂 158頁


 本書『我が闘病』は、三省堂より出版され、手元のものは昭和15年9月発行の第7版です。8月に初版が出て9月に7版とは驚きですが、奥付には前回の指摘した「停」の字の丸印が印刷されています。前回これはその筋の販売停止か何かと憶測しましたが、、この印は別の意味のものかもわかりませんね?

 賀川豊彦にとっては「闘病」はほとんど生涯にわたるものでしたから、昭和5年には『心の養生―病気に勝つ精神的準備』とか『女性賛美と母性崇拝』『神と苦難の克服』『生命宗教と死の芸術』などの著作のなかにも、「闘病」に関連する文章を書き刻んでいます。そして追って紹介する賀川の著作『病床を道場としてー闘病精神の修養』が仕上げられていきます。

 今回の書物は、評論家として知られる杉山平助との共著で、本書の序文は杉山が執筆しています。また装幀には漫画家の横山隆一が担当しています。

 ここでは、その表紙と横山の序を取り出して置きます。

 なお、2006年には『我が闘病』という同名の書物が、今吹出版社より出版されています。本書の賀川執筆分と村島帰之の名著『賀川豊彦病中闘史』と共に収められていますが、「復刻改訂版」とされていますが、惜しいことに多くの箇所の書き換えが行われており、せっかくの復刻が残念な仕上がりとなっています。



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                    『吾が闘病』

                      


 世間の病人たちのいちばん大きな慰めは、自分の病気の話を、他人に話すことである。

 それにくらべると、他人の病気の話を聞かされることなんぞは、はるかに面白くない、ちっぽけな慰めにすぎない。それでも、患者によると、他人の病気の様子について、根ほり葉ほり知りたがることは、法廷にひっぱり出された被告たちが、判決例について、急に熱心に知りたがるやうになるものと同じ心もちであらう。

 一般に病人たちは、自分の病気が、他人の病気よりもはるかに重くて、難病だと考へることによって、ひそかな満足を感じる変態的な心理を所有してゐるものである。だから、彼等が、自分の病状について語る時は、たいがい誇張される傾きのもるものだ。

 或る患者が、十グラムほとの「ケチ」な喀血をしたのを、看護婦がその通り医者に報告をしたのを聞くと、勃然として憤り、
 「嘘を云ふな、あの喀血は五十グラムは下らんぞ」と、怒鳴りつけた患者を、私は見たことがある。

 私が今、「吾が闘病」について語るのは、ひろく世上の同病者に、この病気についての正確な判断力を輿へるためであり、その萎靡しかかつてゐる精神を激励するためでもあるが、或る意味においては、何だ、お前の病気は、それつぽつちの病気か、俺の病気は、その十層倍も重いたいしたものなんだぞ、といふやうな優越の快感に耽らせてあげたいためでもある。

 出版者が、賀川豊彦さんと私の闘病記を並べて印刷することを思ひついたのは、賀川さんと私の生活気分が、坊さんと浪花節語りほど違つてゐるのを見て、病気の療法にも千差萬別のやりロがあり、ちがつた心がけのあることを、世間にわからせるためであろうと、私は、勝手に推測してゐる。

 闘病といふものは、一般に「悲壮」であり、「深刻」でありたがるものである。この本が、さういふ「深刻」な表情からまぬかれるために、漫書家の横山隆一君をわずらはして、装幀をしてもらふことにした。そのことは、私が、漫画といふものを、真面目に考へてゐることを意味するのである。

  昭和十五年夏
                                  杉 山 平 助



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