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新連載「賀川豊彦」のぶらり散歩―作品の序文など(第102回『病床を道場として』)

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今回も上の写真は『賀川豊彦写真集・KAGAWA TOYOHIKO』より。



賀川豊彦」のぶらり散歩
   

―作品の序文など―

      第102回


病床を道場としてー闘病精神の修養


       昭和16年6月25日 白十字会 175頁


 本書『病床を道場としてー闘病精神の修養』は、主に白十字会の雑誌『療養知識』において昭和14年6月以後掲載されていたものをまとめたものです。

 私の手元にあるのはその初版ではなく、戦後昭和31年11月に福書房より、村島帰之の貴重な解説の付けられた『病床を道場としてー私の体験した精神療法』です。

 おそらくこの表紙の装幀も賀川のものでしょう。私の好きな作品の1冊です。ここでは「福書房版」のカバー・表紙・口絵写真などと、賀川の「序」を収めます。



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                 『病床を道場として』

                     


 単細胞動物に死はない。地球の表面に生物が生じて約四億年、海藻類やアミーバはその間も連綿たる生命を持続して味わうことを知らない。

 生命の神秘に触れた者は、生命の永遠性に気付くであろう。死は複細胞にあらわれた現象である。それは、地球の表面の変化に適応するための新しい試みとして地上に現れた。しかし、その場合でも種は決してほろびない。

 殊に霊魂を「記憶」の方面より探りを入れると、生理的の死が、霊魂の死でないことを我々は直ぐ発見する。

 肉体は、七年目毎に替っている。かわる肉体に、かわらざる記憶が残って行くふしぎな原理を、唯物論者は何と見るか。

 いや、それにもまして神秘なのは、変動せる物質を貫いて、不滅の法則が存在することである。不滅の法則は宇宙に智慧のあることを意味している。何百億年、宇宙の変化を貫いて、不滅の法則は不変である。さらに不変の法則には時間、空間を超越する宇宙の目的が盛られて居る。この宇宙の法則の把持者こそ、宇宙の神であると、わたしは信じている。      

 すべての災厄を越え、すぺての病魔を越えて、宇宙の神は厳然として宇宙を支配し給う。この普遍不動の絶対者に、三つの力が備えられている。即ち、創造の力と、保存の経綸と、修繕の神秘とである。

 宇宙に修繕の神秘があればこそ、病気もいやされ、疲労も恢復するのである。病人は須くこの宇宙の修繕の原理にすべてを委ぬべきである。この宇宙修繕の原理をギリシア人はクリストと言った。即ち血液が病気を治すのも、この修繕の原理の現われである。精神上の疲労の恢復するのも、この修繕の原理のあらわれである。

 しかし、人間は道徳的存在であるだけに、そして精神的動物であるだけに、道徳的に、又精神的に剛健でなければ病気を征復することはできない。

 精神の剛健なる者にとっては、悲哀も戯曲の一齣とかわらぬ。

 喀血しても恐怖すな。神は修繕の原理を持ちたまう故に。

 宇宙の神にすべてを委ねよ。すべてを宇宙の神の御手に委ねることによって、病床は一つの道場と化する。そこは法悦の道場であり、歓喜の泉と変化する。

 雨に、嵐に、晴れに、曇りに、わたしは宇宙の神の胎盤に吸付いたような気持で、病床に、幾日も幾日も横たわった。壁を凝視する瞬間、それは神の掌の如く感じられ、窓を洩れくる光線は、神の御殿のイルミネーションの如くに輝く。何物をも読まないけれども、静思の世界に神の脈搏が感じられ、無為の世界に、地軸を中心として、地球の自転が感じられるではないか。

 あせるなよ! 病床に嘆く若き魂よ! すべてを神に委ねてしまえ。

 春が来れば、若芽はふくものを、猿蟹合戦の蟹のように、生えねばつみ切ろうといらだつな!

 病床は道場である。五尺のべットは必ずしも広くはない。しかし、至高至愛の神が病床を下より捧げていて下さると思えば、五尺のべットは神の玉座そのものであると考えられよう。

 絶対安静は先ず精神より始めよ。病床に苦悶するものは野球のグラウンドに疾走する選手より疲労を感ずる。

 安静は霊魂の消毒より始まる。すべてを神に委ねてしまえ。悩める魂よ! お前の体が自分の自由になると思う間は、お前は我儘を云うだろう。我儘を云う間、お前の病気は治りはしない。お前の体が、神の体であって、粗末にできないと云うことが自覚された瞬間に、精進が始まるだろう。その瞬間に病床は道場と化し、病苦そのものが他日の健闘への準備と化すであろう。

 東に太陽は昇る。病床の憂欝を追払って、そこを天の道場と化すべきである。

                                賀  川  豊  彦




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