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「賀川豊彦」のぶらり散歩ー作品の序文など(第201回:神戸学生・青年センター編『賀川豊彦の全体像』)

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「岩田健三郎版画展」(今日のブログ「番町出合いの家」http://plaza.rakuten.co.jp/40223/)



賀川豊彦」のぶらり散歩
   

―作品の序文など―

      第201回


神戸学生・青年センター編『賀川豊彦の全体像

  
 本書は、1988年12月、神戸学生・青年センター編として、同出版部より刊行されました。表紙にも記されているように、山口光朔・笠原芳光・内田政秀・佐治孝典・土肥昭夫の五氏の貴重な講演記録です。

 ここでは、同センター理事の西原基一郎さんの冒頭の文書「刊行にさいして」を取り出して置きます。




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                   発行にさいして


 今年十六周年を迎えた神戸学生青年センターは、大きな事業の一つとして、創立以来、朝鮮史、食品公害、近代日本とキリスト教を三本柱とするセミナーを継続してまいりました。朝鮮史および食品公害セミナーは、年間に約十回、十六年もの長い間、続けることができ、多くの参加者を集めることができました。セミナーの記録も、出版部から、すでに朝鮮史関係六冊、食品公害関係二冊を刊行しています。しかし、キリスト教セミナーに関しては、十三年もの長期間続けながら、参加者の対象層をつかみ切れず、企画もかなり苦しい思いをしてきました。時代別、テーマ別、人物別、さらには「神戸とキリスト教」のように地域性を生かしたテーマを設定したり、開催日時を変えるなどして、工夫して開催してきましたが、企画の苦労は絶えませんでした。

 ところが本年三月に第二期「神戸とキリスト教」が終わったあと、「賀川豊彦の全体像」をメインテーマに、六、七月に集中して特別セミナーを持ちましたところ、時期を得たことから、これまでになく好評で、多くの参加者がありました。そこで今回の講演に、以前、キリスト教セミナーで行なった山口光朔先生の賀川豊彦をテーマにした講演を加えて、講演録を出版することにいたしました。キリスト教セミナーとしては、十三年目にして最初の出版であります。

 「発行にさいして」は河上民雄理事長が、辻建館長が書くのが適当と思われますが、今回のセミナーを企画し、司会もうけたまわったところから依頼を受けた私が、担当することになりました。

 今回のセミナーを企画したのには二つの理由があります。一つは、賀川豊彦の名前すら知らない人たちに、こんな人もいたということを知っていただきたいということであり、いま一つは、教会内の問題からです。

 数年来、日本基督教団で「賀川豊彦と現代教会」、とくに部落差別文書が問題となり、一九八六年二月の第一次討議資料に続いて、本年三月、第二次討議資料が出されました。他方、賀川豊彦生誕百年を記念して、式典、講演会、シンポジウム、演劇、映画製作、展示会などが、東西の実行委員会によって展開されました。

 こうしたときに、いまふうに言えばマルチ人間の賀川を、ある一面からだけの批判や、逆に、あばたもえくぼ式の全面礼賛ではなく、近代日本の激動期に、教会内の牧師にとどまらず、他に類を見ないほどの広い分野で中心的指導者として活勤し、それだけに問題もまた多い賀川豊彦の全体像を、できる限り批判的に明らかにし、現在の教会やキリスト者にとっても、非キリスト者にとっても、賀川豊彦が一つの踏み台になればと意図して、今回のセミナーが聞かれました。

 私事で恐縮ですが、教団が成立する一年前の一九四〇年、同志社の神学生のときに、学校の配慮で短期間ではありましたが、日本組合基督教会の本部にアルバイトに行っておりました。楽しみは昼食時、近くの食堂で、偉い先生方に、当時の私にはめったに口にできないランチを、ごちそうになることでありました。その折、食後の茶飲み話で、お仲間の牧師の裏話、慢評、酷評を聞かされましたが、なかでも「今の教会には大ぼら吹きが二人いる。ほら安の清水安三と賀川豊彦だ」というのにはまいりました。二人とも大いに尊敬し、賀川豊彦にいたっては関西講演時には、できる限りついてまわって出席し、自然科学などの大展開に煙に巻かれながら、心を熱くして聴いたものでした。当時の私にとって賀川は、貧民、被差別部落民、農民、労働者、病者など、社会の底辺の弱者と共に生きている、まことに大きな存在でした。

 それから数十年たって、『貧民心理の研究』などの差別記述が問題化したのを契機に、賀川豊彦再検討が自らの問題として迫ってきました。今回のセミナーでは、賀川の情熱的で幅広い先駆者的活動に驚きを新たにするとともに、あの賀川豊彦にも根深くて重大な問題点がこんなにもあったのかと、目を開かされる点が多くありました。

 いまさら賀川、などといわれる向きもあるでしょうが、されど賀川、と思われるほどにその活動分野は多様で、現代の状況に通底する問題はきわめて多いと思われます。本書を契機に、人それぞれに、自己検討の問題として、賀川の全体像をその時代的社会的背景のなかで把え直すことによって、「古人のあとを求めず、古人の求めたるを求む」(空海)る、機縁の一つともなり得るのではあるまいかと思われます。

 もっとも全体像とは銘打ってはいても、全体というにはもとより欠けるところはきわめて多く、それを満たすにはなお相当の量を必要とすると思われます。まずは本書を読んでいただき、「賀川豊彦と現代教会」の討議や、その他色々な意昧での資料として、多用願えれば幸いです。

 最後に、きわめて御多忙な先生方には、十分な準備のもとに、熱心に講義をしていただいたうえ、短期間に加筆や修正をしていただき、心より感謝申し上げます。おかけさまで充実した内容のものを出版することができました。また、神戸学生青年センターの「朝鮮語講座」および「食品公害を追放し安全な食べものを求める会」のメンバーである西咸子、今田裕子氏には、テーブ起こし、ワープロ打ち、編集、校正にお骨折りいただきました。あわせて感謝申しあげます。

  一九八八年一〇月五目
             神戸学生青年セッター理事
                            西 原 基一郎
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