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村島帰之の労働運動昔ばなし(第21回)

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「栗ごはん・・・」(今日のブログ「番町出合いの家」http://plaza.rakuten.or.jp/40223/)



村島帰之の労働運動昔ばなし(21)

『労働研究』(第138号)1959年8月号連載分


                第三回 清野長太郎知事時代

    (前回のつづき)
              
                 知事から友愛会へ調査依頼


 大正七年五月、清野知事が賀川・久留両友愛会幹部と会見して意見の交換をしたあとで、友愛会を通じ、次の三箇条について調査を依頼して来た。

 一、会社の幸福増進設備に対する実感と希望
 二、紛擾の原因および防止策
 三、会社に対する一般的希望条項

 友愛会ではこれを同会に加盟している川崎・三菱両造船所と神戸製鋼所の職工有志に回付しそれぞれ記入の上回答した。その答申の概要を記すと次の如くであるが、団体交渉の要求が、おぼろげではあるが出ているのは注目に値いしよう。

 第一問 会社の幸福増進設備に対する実感と希望

 会社が職工の利益と信じて苦心経営する幸福増進の設備も、その実行方法と運用がよろしきを得ないため多数職工はこれを喜ぶよりも、むしろ反感を抱いている。

 1 工場医の職工に対する態度の如き、極めて不遜で、社員と職工との待遇に大差がある。このために職工は不快を感じて、私費を出しても町医者にかかるものが少くない。 
 2 三菱造船所の行っている購買組合についても同様のことがいえる。
 3 会社は職工に対しいろいろの扶助規定その他社則を定めているが、職工に公表しないからその内容が不明で、その上、その認定や適用が会社の自由裁量でなされるので職工は常に不安の念を抱いている。
       
 第二問 紛擾の原因と防止策

 大体において賃銀の低廉と中間者に対する反感、即ち感情問題が争議の主要原因となっている。殊に後者において甚しい。

 1 技師或は役付職工(工場長・伍長・伍長心得)に対して「袖の下」を行う場合、歩増や昇給に際して利益があるのみか、時には職工に対し袖の下の請求をほのめかす向さえあり、これらによる昇給の不公平が鬱積して争議となる。小紛議の十中八九まではこれだといっても過言ではない。
 これが防止案としては
  A、技術の試験を行って昇給を定めること
  B、主任技師以外の役付職工の公平なる投票によりその標準を決定すること
 2 紛議の原因は賃銀が会社の利益に対し、あまりに低いことだ。殊にその昇給率が低いため(神戸製鋼所は大てい二銭である)今日のような物価騰貴の率と均衡が保てない。世人は「労働者は戦乱の影響をうけて莫大な収入を得ている」というが、実際はそうでない。ただ戦争のため仕事が多くなって、定時間のところが残業となり、残業が夜業とな  り、労働の過重により収入が前より殖えたというに過ぎない。
 3 争議の根本は一言にしていえば、平素、職工と会社側(技師・技手の如き中間者をいうのではない)との意思の疎通を欠くことに起因する。故に何らかの機関を設けで両者か月一回ぐらい、会見するようしてほしい。

 第二問 会社に対する希望

 職工が会社に対し持つ希望は限りがないが、その中、実行可能と思われるのは

 1 川崎造船所は臨時職工を多く募集する。これは臨時工は解雇の場合、手当を支給しないですむからであろうが考慮してほしい。
 2 入職の際「試験中」という名義で、賃銀も半給で約一週間使役される。この試験期間を短縮されたい。
 3 会社は業務災厄以外の疾病に対しても工場医が診療するようにしてほしい。
 4 川崎造船所では造機部と造船部とがその規則を異にしているのは好ましくない。
 5 解雇すれば手当が要る。そこで会社は仕事が減った場合も解雇をせず、割増金を減じたり、定時間労働のみにしたりして実収を減らし、結局、自分で他へ転ずるように仕向けるのは残酷にすぎる。
 6 職工が技師その他に対し、少しでも抗弁したりすると、頭から「生意気だ」と称して排斥する風がある。こうした職工を卑しむ風は矯正されたい。

 大体以上の如くで、文章は新聞にのせる関係でやわらかく直しだが内容はそのままである。会社を非難するよりも、職場の工場長(といっても俗称で、正式には職長である)始め役付への不満がそのまま出ているのや、会社の温情施設に対する批判がなされているあたり、やはり四十年前の事だという思いが深い。

   (つづく)


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