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村島帰之の労働運動昔ばなし(第59回)

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「烏原貯水池」(今日のブログ「番町出合いの家」http://plaza.rakuten.co.jp/40223/)



村島帰之の労働運動昔ばなし(59

『労働研究』(第153号)1960年11月号連載分

 第八回 大正八年という年
     ―弾圧と風刺する演説入りラッパ節―

   (前回の続き)
 
                賀川理事長の指導精神


 関西同盟会は木村氏を正大将とし、賀川氏を参謀大将として雄々しく立上ったが、同会はどういう風に針路を定めたか。

 いうまでもなく、同盟のリーダーシップは賀川氏の手中にあった。従って賀川氏の指導精神が即ち関西同盟の方針となるのだった。創立大会についで4月20、中央公会堂で記念大会が催されて、賀川氏起草の宣言が可決された。これこそ、関西労働組合の針路を示すもので、同時に、着実穏健で余りにも宗教的だといわれた賀川氏の指導精神を窺い知るものであった。

 この穏健なる指導精神は、その後、永く関西の労働運動を支配した。そしてともすれば矯激に走ろうとする関東のそれに対し、一つの大きなローカル・カラーともいうべき特色を示した。少し長文だが、関西労働運動の当時の指導精神を知るためにその全文を掲げる。賀川氏の面目を伺うに足ると思った節々を示したつもりである。
     

          主   張                (原文のまま)


 我等は生産者である。創造者である。労作者である。我等は鋳物師である。我等は世界を鋳直すのだ。又我等は鉄槌を持って居る。我等に内住する聖き理想と、正義と、愛と、信仰の祝福に添はざるものがあれば、我等はその地金がさめざる中にそめ槌を打ちおろすのだ。我等は意志と、筋肉と鉄槌と、鞴を持って居る。我等は内住の理想を持って宇宙を 改造することが出来る。

 我等はこの精神を持って如斯宣言す。労力は一個の商品でないと。資本主義文化は賃銀鉄則と、機械の圧迫により、労働者を一個の商品として、社会の最下層に沈倫させてしまった。故に我等は労働組合の自由と、生活権と労働権と、集合契約権と、正義に基く同盟罷業の権利を主張し、治安警察法第17条の撤廃と現行工場法の改正を要求す。

 我等は8時間労働制の採用と、最低賃銀の制定を凡ての労働組織に要求す。即ち工場作業にも、家庭に於ける内職作業に対しても同様に最低賃銀の制定を要求するのである。殊に今日労働者の家庭に行はれつつある内職工業なるものはその悲惨言語に絶ししている。

 我等は速かにその改良を要望す。

 我等は労働者の災害に際する賠償法の制定と、労働者に対する廃疾災害、失業、疾病、養老保険の確定を要求す。

 又工場の民主的組織と、その立憲的経営を当然の要求と信ずるものである。我等はかくして資本主義文化の疾患である恐慌と失業に備へ労働市場の悪風を打破し、労力の掠奪者と、中間商人の横暴を排し、労働者自身が欺かれて、契約労働の苦役につきつつある今日の惨状より自らを救済せんとするのである。                   、’
 更に、我等は日本に於ける工業界の特殊現象として、工場内に於ける女子の勤労の多大なるを思ふ故に、同一労働に従事する男女労働者の同一賃銀を要求し、彼等の苦悩の削減せられんことを祈る。

 我等はまた日本の都市に於ける今日の労働者の住宅は全く人間の住むに適せざることを声明し、その住宅の改良を世界に訴へんとす。

 又我等は労働者自身の向上の為めに補習教育、徒弟教育、また労働者の社会教育を普及せん為めに、政府当局が適置をせられんことを希望し、将来は労働者の子弟と雖も、資本家の子弟の如く経済的東縛なくして、自由に大学に入学し得る設備の与へられんことを要求す。

 斯の如き要求は、生産者がなす可き正当の権であって我等が、一個の人格であり、自主である以上、決して市募に於ける一商品で無いと世界に向って告ぐるに必要なる条件である。

 我等は決して成功を急ぐものでない、我等は凡ての革命と暴動と煽動過激主義思想を否定す。我等はただ自己の生産的能力を理性に信頼して確乎なる建設と創造の道を歩まんとするものである。時代は変るであろう、流行を追ふことの好きな日本人は昨日は帝国主義を送り、今日デモクラシーを迎へ、明日はまた人種的偏見に煩はされて、我等労働者の自覚に一顧だに与へ無いであろう。然し我等は既に一歩を踏み出した。この道は決して変るものでは無い。我等は生産者の外に世界に文明を教へ得るものの無いことを知って居るから消費階級の遊戯的文明と、それによる此度の破産を嗤ひ凡ての迷妄と破壊に反対し戦後に於ける世界の改造と建設はただ我等生産者のみによって為し得べきこととかくして叡智の太陽を仰ぐ日の近きを世界に宣言するものである。

  大正8年4月20日

      (つづく)
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