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村島帰之の労働運動昔ばなし(第88回)

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「山口県光市・普賢寺の<雪舟の庭>」(今日のブログ「番町出合いの家」http://plaa.rakuten.co.jp/40223/)




村島帰之の労働運動昔ばなし(88

『労働研究』(第160号)1961年6・7月号連載分

第十一回 いわゆる「八時間労働制」
    ――川崎のサボが起こした波紋


    (つづき)        

              8時間労働効果(川崎造船所調査)


 わが国における8時間労働制最初の採用者である川崎造船所その後の作業能率如何については、造船界は勿論一般鉄工業界の興味をもって注視を怠らないところであるが、同所の調査によれば実施以来日なお浅いため、工場全般にわたって能率増進を云々することは出来ないが、職工の出欠、製鋲、打鋲、道具製作、製条、鍛冶等の小区分においては日々の統計上その成績が適確に表示されてあるところからみても、一般工事進捗の程度もまた推知することが出来る。
           丿
 職工出勤 去る9月1日以後怠業問題発生前即ち同月17日までの間においてその出勤人員は9月4日(賃金支払日)に総人員1万4千人台を超過したほかおおむね1万2千5百人を越えず総人員に対する出勤率は7割3分であるが10月同期間において7割8分にのぼり、更に10月18日以後は8割8分を下らず25日以降は9割内外の好成績を示した。即ち10月中の平均出勤歩合は実に8割4分であって9月上半の7割3分に比し1割1分の大増差を示した。いま仮りに総人員を1万6千人とすれば千7百余人を増加した勘定になり、しかも新制度発表とともに職工の募集を中止したので、総人員は漸減して10月末1万5千8百人となり、9月中の最高1万6千7百人に比し実員において9百余人を減少したのに拘わらず、出勤率に前述の通り却って増加したので、減員を補充してなお余りある。のみならず、新に募集したものよりも技能熟達等の点より見れば、却ってその成績は良好である。ただ賃金支払日の翌日において急に欠勤者の増加する弊風は未だ全然矯正されていない。

 製鋲工事 9月1日より17までの製鋲高は最高5万4千余本2万2千5百ポンド、最低3万1千余本1万3千ポンド、平均4万6千余本1万9千余ポンドであるが、10月同期間には最高5千余本2萬余ポンド、最低4万4千本1万5千余ポンド、平均5万余本1万8千5百余ポンドとなった。9月中は作業時間12時間であり、10月4日以来は10時間作業に改めたが1日当り5万7千本2万2千5百ポットの製産高を挙げ、空前の好成績を示した。毎1時間当りの製産高を見るに、怠業前(9月1日~9月17日)は製鋲本数4千5百本を超えたのは9月4日のみであるが、新制度実施後では4千5百本を下る日は全然なく、9月16日の如きは5千6百余本の大製産高を表わすに至った。重量について見ると、9月上半は概ね1千4百乃至1千8百ポンドの間を往来するものが多かったが、10月同期間には1千5百ボンド未満のものは1日もなく、概して1千6百乃至2千2百ポンドの製産力を発揮し、その後能率ますます増進して普通の日にあってば1千6百ポンド以下に下らず、同月20日には2千2百ポンド、21日には本数5千7百本を超過した。

 船体鉸鋲 船体鉸鋲は怠業前は毎日12時間交代で、問題解決後は10時間とし、10月3日より8時間となった。然るにその毎日打鋲総数は8時間制実施以来却って増加した。

                自9月1日    自10月3日
                至9月17日   至10月17日
         殼  高   79、000本    74、000本
         最  低   23、000     43、000
         平  均   61、000     64、000

 即ち最高において減少したが平均本数において約5分を増加し、10時間制時代の平均5万4千本に比較すると約1割8分の増進を示した。10月18日以後においては1日打鋲高平均6萬1千余本に下ったが、最少日であっても5萬本を下らない状況で能率増進の結果によるもの少くない。もっとも鉸鋲作業は職工5名で1組(1ホド)とし打鋲するもであるが、その打鋲数の増減は作業時間の長短あるいは、組数の如何に関係することが大きい故にその能率の大小を比較するとすればその毎1組1時間当り鉸鋲数を対照する必要かあり。1ホド毎時間の打鋲数平均を見ると、9月上半は概ね20乃至29を示すに過ぎないが、10月上半以後には多く30乃至37の間を往来するようになった。

 道具製造 道具製造も一般に能率増進し鑪平目切の如きは能率特に著しく、1日平均目切高2百40吋内外を示し3割8分の増加を告げた。その他兵庫工場における各種作業工程は新制度実施以来ますます進捗し、特にパーミルの如きは頗る盛況を呈し、10月上半の製産高は9百36噸436で1時間当り3噸823の多きを算えた。同工揚げ定業8時間のほか2時間残業を励行したので、結局実働10時間の割合であり、これを10時間制時代に対比すると製産総高においては11噸7、1時間当りにおいては1噸余を激増した。

    期  間      総生産高     1時間当生産力
    トン        トン
   7年8月下      913,469 3,037
   同 10月上     1,032,708 3,395
   8年8月下       778,057 3,100
   同 9月上       924,736 2,737
   同 10月上 936,436        3,823

 フオーチング・ショップの製産も半箇月に20万噸を超えているが、その製産費は工賃増加の割合は多くなく、これは作業能率が向上した結果にほかならない。

   期 問   生産高   工 賃   生産費総額
   3月上   97トン    3,165   26、943
    9月上   194      3、536   29、269
    10月上   206      7、060   32、921

 出勤率は73%から78%さらに90%と上昇して職工の新規募集の必要がなくなったというし、製鋲などは、サボタージュ前は毎時4千5百本がせいぜいだったものが、8時問労働制実施以後、5千6百本にふえたというのだからすばらしい。そのほか、船体鉸鋲や道具製造、パイプ工事などいずれも能率は向上し、造船所はホクホクものである。そしてこの調子なら8時間+Aでなく、8時間ずばりにしても大丈夫という確信をさえもったようであった。

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