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村島帰之の労働運動昔ばなし(第102号)

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「西山公園」(今日のブログ「番町出合いの家」http://plaza.rakuten.co.jp/40223/)



村島帰之の労働運動昔ばなし(102

『労働研究』(第162号)1961年9月号連載分

     第十三回 労働組合のPR活動
             ―播磨造船所と神戸市電の要求一


              
               労働運動とPRと青服叢書


 機関紙「新神戸」の発行と平行して講習会が友愛会の事務所や組合員の2階なっで随時開会された。久留氏をはじめ私や、私が推薦して大正日日新聞に入れた松任克己氏も時々顔を出した。今日では労働問題の書物もイヤというほど出版され、労働組合の会合もたえず開かれて、労働大衆が労働運動に関する智識を吸収することは容易となったが、40年前は手軽に読める書物も少く、話を聞く機会が少なかったので、友愛会の講習会は組合員に喜ばれた。

 ただ、8時間労働制は実施されナことはいつでも実働時間はそれに2時間ぐらいの残業を加えた10時間以上となっていたので、聴講者の来会するのが遅かっナこ。それでもう誰も来ないのだろうと思って尻をあげようとしているとドヤドヤとやって来て、あわてて座り直すというようなことが少くなかった。だから友愛会の支部の講習会に出ると西宮に住んでいた私などは帰宅は11時をすぎることが多かった(私は尻池支部長だったので、集りも尻池方面が多かったので、往復に多くの時間を要した)
              
 友愛会の事務所では久留氏が継続して労働運動のイロハを解説したが、これを一冊の書物にまとめ、賀川豊彦監修の社会問題叢書という小型文庫版の第1篇として大正8年5月に東京の警醒礼から出版された。この社会問題叢書の第2篇は「英国社会運動史上の人々」と題する野坂氏の小著で、この頃は野坂氏も賀川氏の仲のいい同志だったのである。また第3篇には前に述べた賀川氏の「労働者崇拝論」が同年11月に出たが、発禁となった。第4篇以下にはフランス、ドイツの労働階級史やC・G・Tの研究などが続刊されたが大学生あたりでないと、ちょっと消化できにくいものばかり。労働組合員には少数の人を除いては程度が高すぎて読む者は少なかった。ただ久留氏の「労働運動」だけがわずかに大衆向きであった。

 そこで、久留氏と私は、もっと平易な啓蒙的なパンフレットを出版して広く労働大衆に読んでもらおうと相談した。賀川氏も賛成して若干の金を寄附してくれたし、久留氏や私もなけなしの財布をはたき、前に書いた友愛婆さんもそのパトロンの質屋の且那にせびって出資してくれたので、資金もでき1冊5銭で売ることとした。そこでまず私がごく初歩のイロハを書くこととなリゾンバルトの書物の中から挿話を借りて来たりして青服叢書第1篇として9年3月に「労働問題とは何ぞや」を出した。わずか26頁の小冊子だったが、初版500部を出し売切れて再版500部を追刷りし合計1、000部が菜ッ葉服のポケットに収まった。このパンフレットははじめ「菜ッ葉服叢書」としようと私がいったが、菜ッ葉はひどすぎるというので「青服叢書」という名称におちついた。第2篇は久留氏が「賃銀奴隷の解放」というのを出したが、賃銀奴隷という文字が当局のお気に召さず、発禁になった。

 これらのパンフレットはもちろん市中の書店で販売するのではなく、組合の幹部が工場へ持って行って、上司の目をぬすんで組合員や、組合に好意を持つ連中に頒布したほか、友愛会神戸連合会の若手のピチピチした連中が「新人労働団」を結成し、労働組合の宣伝を兼ね新開地あたりまで進出して、夜店のバナナ売りハダシの雄弁をふるって道行く人にも売った。この新人団一―和田惣兵衛、貫名作三、玉置清治といった当時の紅顔の美青年も、もう60を過ぎたシナビタ老人になっていることであろう。

 「兵庫県労働運動史」を見ると、この青服叢書は7編まで出たようになっているが、それは予定であって、実際に出たのは上述の2篇の次に私が大正6年の友愛会全国犬会でしゃべった「産業社会の悲劇」を書き直して出したものだけで、あとは資金の回転がうまくいかなかったのと、私か大阪本社に復帰することになったことなどで、やめになったのは遺憾であった。予定されていた私の「国際労働会議の成果」も原稿はでき上っていたが、パンフレットにはならず、労働者新聞に連載された。昔はものを思わざりけり、どころか、みんな随分苦労をした。それを思えば、今は苦労が少ないといえるのではないか。
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