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連載:賀川豊彦の著作ー序文など(第1回)

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「新春の高取山」(今日のブログ「番町出合いの家」http://plaza.rakuten.co.jp/40223/)



   賀川豊彦の著作ー序文など

   わが蔵書棚より刊行順に並べる

             第1回

  はじめに

 蔵書の整理も兼ねて、2012年1月19日より、<「賀川豊彦」のぶらり散歩―作品の序文など―>をブログ「賀川豊彦の魅力」http://keiyousan.blog.fc2.com/ でスタートして長期連載をいたしました。そこでは彼の著作原書から「序文」などをスキャンしたりして、彼の若き日からの作品を読み進んで、毎日を楽しませて貰いました。

 「序文」を一字一字打ち出してテキスト化する書写でもあり、随分時間を要しました。当然そこには間違いもあったり、読みやすくするために、勝手に改行を加えたりしております。

 そこで今回は、著作の表紙など関連するスキャン部分を省いて、解説的な文字など残しながら、主として「序文」などを取り出して読んでいくことにしました。こうして、賀川豊彦の全著作を年代順にたどる「賀川豊彦ぶらり散歩」の続きをスタートしてみます。

 いずれこれらの中から選別して、「賀川豊彦随筆集―著作序文選集」(仮題)をつくってみたらどうだろう、と思っています。


      第1回 預言者エレミヤ

 賀川豊彦の処女作品は、1912(大正元年)12月21日、福音舎より出版された『友情』で、『賀川豊彦全集』第20巻に収められています。しかし今それはわたしの手元にはありません。それで、その翌年1913(大正2年)12月1日、福音社書店より刊行された166頁の作品『預言者エレミヤ』からはじめます。

 処女作の『友情』の口絵・画は賀川自らのものですが、第2作目では「長尾巳画」となっています。そして『友情』と同じく「序」は山室軍平が執筆しています。賀川は25歳、芝ハルと5月に結婚して後の第1作です。本書には「TO Rev.C.A.LOGAN ローガン先生に」と巻頭に記されています。ここでは、賀川の「自序」を収めてみます。

(賀川と山室、そして吉田源治郎については、長期連載「KAGAWA GALAXY 吉田源治郎・幸の世界」(http://k100.yorozubp.com/ に触れています。)



             自序


 「預言者エレミヤ」は出来るだけ平易に、日曜学校の尋常科の終わりの方の方々に分かるくらいの程度で書いたつもりであります。しかし、私は大人の信者諸君にも是非読んで戴きたいのであります。

 旧約聖書のエレミヤ記をお読みになった方はご存知でしょうが、エレミヤ記は切れ切れの入り込んだ、それはそれは面倒くさい本であります。エレミヤのしたこと、また考えたことが、少しも年代を追っておりませんので、私はほんとに困りました。私はそれを長い間、西洋の色々な本を参考にしたり、自分手に考えたりして、やっとのことでこんなものにまとめました。聖書に載っている預言はひとつも略してありません。色々と工夫してみな入れて置きました。

 また挿絵でありますが、今度は私のお友達の長尾さんに書いて戴きました。長尾さんはただいま東京の青年画家の中で評判になっているお方です。しかし、下絵はみな私が、あるものは「埃及発掘会報書」から、あるものは、フエノロッサの「東洋美術史」から、あるものは「歴史家の歴史」から集めてきました。

 エレミヤ自身のことに就いては、私はまた特別の同情を持っております。私は小さいときから涙脆い方で、十五の時から説教し、いつでも辛い時にはエレミヤを思い出して慰めておりました。その後、神のご用に一生を捧げたときにも、エレミヤを思いながら東京へ上りました。今日でも毎晩の路傍説教に、ほとんどエレミヤを忘れたことはありません。迫害せられたとき、風の吹く晩、いやなとき、世の人間が福音に無頓着なとき、私はいつもエレミヤを思い出します。

 そしてエレミヤの涙は私の涙でした。それで私は、この本の表題を「涙の歴史」としようかと思ったくらいでした。

 未だ世界は改心いたしません。それで私はこの本をお読みになる皆様に注文があります。どうぞ、皆様も一人びとりエレミヤとなって、世界の罪を涙で洗い流すまで、基督のためにご奮闘して戴きたいのであります。

 1913年11月10日          

                       著    者

                         神戸貧民窟にて
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