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連載:賀川豊彦の著作ー序文など(第15回)

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「神戸布引Herb Gardensロープウェイより」(今日のブログ「番町出合いの家」http://plaza.rakuten.co.jo/40223/)




   賀川豊彦の著作ー序文など

      わが蔵書棚より刊行順に並べる

                 第15回
  

     生存競争の哲学

           大正11年11月8日 改造社 349頁


 賀川は「此書を与謝野鉄幹氏と与謝野晶子氏に捧ぐ」と扉に記しています。賀川の処女詩集『貧民窟詩集・涙の二等分』には、賀川より10歳ほど年上で、すでに著名な歌人として大活躍の与謝野晶子の、有名な「序文」が収められていることは、、前にも書きましたが、賀川夫妻と与謝野夫妻との親密な関係を、しることができます。

 本書は、先の『星より星への通路』に続いて、改造社より刊行されました。『死線を越えて』と肩を並べて『星』も猛烈な売れ行きでしたが、この本も連日のように増刷が続いていることがわかります。

            *             *

 今回の「序」をよめば、あの「岡本太郎」が書いたのではないか、と錯覚させられるような、熱気が溢れています。主にここには『改造』や『解放』に寄稿した諸論文が収められていますが、この論集にも「生存競争」「戦争と平和」「階級・労働組合」「顔・衣裳」といった賀川の広汎な視座からの、哲学的な省察が加えられています。

            *             *



          序

 凡てが爆発である。「生」は無限の極みより無窮の際に飛び上がる爆発である。それに生存競争のあることはまたやむを得まい。噴火口の石は相摩することがある。しかし生命の現象はただ生存競争だけでは説き得ない。それは噴火の一表面現象である。生命はさらにそれより深く爆発する。生命の爆音は生存競争の聲に怖じない。生命はそれよりさらに高く爆発する。

 何人が生命の底とその行衛を見極めることが出来るか! 生命は天に沖して轟く。何と言う見事な爆発であろう。それはすべてを吹き飛ばして天空に破裂する。

 それは内側からの爆発だ! 物と物との衝突や競争だけの問題ではない。衝突も競争もその爆発の一齣だ!

 空間に塗られた鮮血の絵画はそれがどんな悲劇であろうとも、力争を厭わないプロチノスには最も勝れたる劇曲である。

 それは大きな表現であり、芸術である。生命は自ら語らんとしている。先ず自ら守り自らを形造らんがために、自己の中に宇宙を画こうと努力しているのではないか?

 私は沈黙して宇宙の語らんとする象形文字を読もう。

 宇宙よ語れ! 生命よ轟け! 私は静かにその爆音の中に新しき音譜を聞きわけよう。

 それがあまりに大きな芸術であるとも私は臆すまい。

 血と、その血塗るところは何を意味するか! 

 宇宙よ語れ! 生命よ轟け! 

 私は静かにその音譜を拾って行こう。

   1922年11月10日

                    賀川豊彦

                     神戸貧民窟にて
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