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連載:賀川豊彦の著作ー序文など(第16回)

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「神戸布引ハーブ園」(今日のブログ「番町出合いの家」http://plaza.rakuten.co.jp/40223/)




   賀川豊彦の著作ー序文など

      わが蔵書棚より刊行順に並べる

                第16回
  

       生命宗教と生命芸術

          大正11年12月10日 警醒社書店 362頁

 「この書は、私の宗教論を集めたものであります」と、賀川の記すように、彼の宗教思想を鮮明にした重要な作品です。個人的には、随筆や詩集に並んで、この宗教哲学的省察を加えたこの作品は、特別の興味をもって、読み返します。

 大正11年といえば賀川は34歳、1月には個人雑誌『雲の柱』を創刊して自らそこに執筆し、各地での講演を筆記して出来た論文などを次々と掲載して、著作として仕上げられていきますが、本書はその第一号といっていいものです。

 本書の初版は、警醒社書店で既に刊行した『イエスの宗教とその真理』『人間として見たる使徒パウロ』と同じ体裁の、布表紙の箱入り美本として仕上げています。

 なお、本書は昭和2年3月に、何故か初版にあった第五章「生命芸術として見たるイエスの一生」を削除して、装丁もまったく一新して、「改版」が作られています。

 そして更に本書は、昭和13年にも内容な「改版」のままですが、また装いを新たにして世に出ています。これも箱入りのようですが、良くできています。

 それでは今回も、賀川豊彦の「序」を書き写してみます。ここでは少し読みやすく取り出します。



          序

 「神は何処にあるか?」と私に尋ねてくれるな。神は探すべきものではない。神は生くべきものだ。神は私の生命の中に生き給うのだ。

 神を尋ねて会わなかったという人がある。神を宇宙の外側に尋ねて発見できるのであれば、神は生きておらないのだ。

 神が生きているのなら、私の衷に生きておられねばならぬのだ。

 神は探す前に、尋ねる前に、私の生命の中に、示現しておられるのだ。

 信ずるとは、生きるということだ。疑うものは疑え。私は生かされ、動かされ、有るべきものとして置かれている。

 私の生命は、私のものではない。私は生命の内側から、神の劇曲の進行を窺わせられているだけだ。

 まあ、何と言う、大きな、神の劇曲よ! 病であろうが、死であろうが、それがまた、たとい大きな飢饉であっても、私はそれを耐え忍んで見物し、神はその劇曲を展開する。私はその観客であり、また役者である。私は十全の力を尽くして、私の役割を務めねばならない。

 悪に怯えたものは、生命の力を見ずして、悪をのみ見る。

 悪は実在ではない。生命の進路に横たわる淘汰の標準である。

 悪は生命より強いものはない。生命は悪を乗り切る力を持っている。

 それを信ぜよ! 魂よ。

 今、苦難が、おまえを待っていても、苦難は生命より強いものではないのだ。

 生命のために苦難が備えられてあるだけだ! 乗り切れよ! 魂よ!

 おまえの、刻々の努力に、悪は逃げ去るのだ。

 宗教とは、悪と戦うことを、いうのだ。判ったか、魂よ。

 悪と、戦わない宗教は、かつて無いのだ。

 形は変わって行く。しかし、生命の努力もて、悪と戦うものは、常に宗教である。

 悪を讚美するものは、宗教を否定する。悪を賛美するものは、生命を呪詛する。

 神に生命がないのではない。眼の前に見ゆる悪に恐怖し過ぎるのである。

 強く悪に猛襲せよ。たとい、倒るることがあっても、神が再び立たせてくれると言うのがイエスの宗教ではないか!

 完全な神が、何故悪を創造したか、と尋ねてくれるな! 神は悪を創造したのではない。

 生命の表現にやむを得ない形式なんだ。それに敗けてしまうというのであれば、宗教はない。

 悪に敗れたものでも、再生の希望があるというのが、イエスの宗教の真髄である。

 悪と虚無を讚美する人がある。しかし、それらの人は、生命の内容を豊富にするために美ということと、悪ということとの形容詞をただ、置き換えただけである。生命の内容を豊かにするということにおいては、何の変わりもないことである。

 すべての冗言を省け! 私は強く生きねばならぬ。

 そのために、衷なる生命の神を、信ぜねばならぬ。

 たとい、私の魂が、敗死することがあるとも、再生の力もて、復活せしめてくれることを、信ぜねばならぬ。

 これを体験したのが、イエスである。

 私は、その宗教に生きる。それがすなわち、私の生命芸術であり、生命宗教である。

 私は、その神に生きる。

   1922年11月29日

                 賀川豊彦

                   神戸購買組合の裏二階にて
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