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連載:賀川豊彦の著作ー序文など(第26回)

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「賀川記念館でのハンセン病問題学習会」(今日のブログ「番町出合いの家」http://plaza.rakuten.co.jp/40223/)




   賀川豊彦の著作ー序文など

       わが蔵書棚より刊行順に並べる

                 第26回
  

      死線を越えて 下巻 壁の聲きく時

          大正13年12月1日 改造社 510頁

 賀川豊彦の代表作である小説『死線を越えて』は大正9年10月に改造社から出版され、大ベストセラーとなったこともあって、その続編がおよそ1年後の大正10年11月に『太陽を射るもの』と題して「中巻」として刊行されました。

 「下巻」はその2年後、大正13年12月に『壁の聲きく時』を完結させ、「賀川の神戸時代」を書き切りました。

 手元にあるものはその初版本ですが、1968年春に神戸の下町で在家労働牧師を目指して新しい歩みを始めてまもないときに、ゴム工場の近くにあった長田区内の小さな古本屋さんで見つけたものでした。

 本の背や本体もずいぶん痛んでいますが、私にとっては、ゴム労働の修行中によみ通した想い出深い本でもあります。

 本書には上巻・中巻いずれにもなかった「序」にあたる一文が入っています。

 そして、どうして私の手元にあるのか失念していますが、松沢資料館所蔵資料のコピーが3枚――『死線を越えて下巻壁の声きく時』の原稿――があります。

 なお、この「下巻」も「上巻」「中巻」とともに昭和2年に「縮刷版」が出ています。なぜかこの「縮刷版」では「下巻」にあった大切な「序」が省かれています。そして本書は、昭和58年には社会思想社の現代教養文庫に『壁の声きく時―続々・死線を越えて』も刊行されました。ふつう『死線を越えて』といえば、上巻をさすかのように最近の復刻版は出回っていますが、改めて強調するまでもなく、上中下の三部作で完結した大作です。

 それでは、ここでは、この巻の冒頭に1頁分加えられている一文を、つぎに取り出しておきます。




 静かに壁が私に囁きます。前途を遮る障壁はいつも私には獣示です。

 静かに壁が私に聲をかけてくれます―――『己を見捨てないものは捨てられない』と。

 壁の聲をお聞きなさい! 璧の聲を! あなたの行手を遮る障壁は無生の物ではありません。恐慌に泣くものも、震災に悩むものも壁の聲をお聞きなさい! 静かに壁があなたに聲をかけます―――『已を捨てないものは捨てられない』と。障壁は私の魂の害にはなりません。私の魂が寸延びれば、障壁は私の前にI寸退きます。私は自分を見捨てません。恐慌よリ猶怖いものがあります。それは自己冒涜です。震災より猶恐ろしいものがあります。それは自己の放棄です。自分が前に押進む日に、障壁はあなたの前に退きます。
怯(ひる)まないで下さい、私の愛する日出づる國の人々、仕事は之からです……

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