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連載:賀川豊彦の著作ー序文など(第32回)

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「ベランダからの夕陽」(今日のブログ「番町出合いの家」http://plaza.rakuten.co.jp/40223/)



    賀川豊彦の著作―序文など

        わが蔵書棚より刊行順に並べる

                  第32回

    
            雲水遍路

            大正15年4月20日 改造社 514頁

 前回の『賀川豊彦氏大講演集』の出版された同じ月に、今度は改造社がまた500頁を超える立派な総布表紙の箱入り上製本を仕上げました。

 この旅行記は、大正13年11月26日に横浜を春洋丸で出港して、翌14年7月22日に熱田丸で神戸に帰港した時の、2回目の外遊を欧米印象記として纏めたもので、読ませる作品のひとつです。

 この8ヶ月に及ぶ外遊には、専属のカメラマンがついていたのか、本書には、口絵の外にも数多くの貴重な写真が収められています。(その写真は既にこのブログで公開すみ)

 では、今回も賀川の「序」を取り出します。賀川の文章は、どれも詩のような書き方ですので、ここでも勝手に、改行を多くして、読みやすくしてUPいたします。



             序

 雲水の心は無執着の心である。

 風に雨に、私は自ら楽しむことを知っている。

 世界の心は、私の心である。

 雲は私であり、私は雲である。

 雲水の遍歴は、一生の旅路である。

 世界を廻っただけが、私の遍路ではない。

 私の旅路は、上へ向いた旅路であらねばならぬ。

 それは、心の旅路である。

 心の遍路は、世界の旅に出なくても、貧民窟の二畳敷で、辿ることは出来る。

 いや、寧ろ、その方が、遥かに尊いものである。

 私は直径七千四百哩の球体を廻って、地理的旅行の必ずしも有意味でないことを、深く感じた。

 只私の深き望みは、此の地上に住める人類が、一日も早く、心の旅路のために、

 愛の国を作り上げてくれることである。

 私は永遠の行路病人である。

 新しきエルサレムへの旅路は、まだ長い。

 私は死ぬまで、雲水遍路を書き続けるつもりだ。

 私は世界を廻って居るうちに、ハワイでも、アメリカでも、イギリスでも、

 世界至る處で、日本の兄弟達の親切に浴した。

 殊にロス・アンゼルスとニューヨークでは、言葉で尽くされない程、同胞の御世話になった。

 そして今もなほその二ヶ所の兄弟達は、私を援けてくれてゐる。

 それに對して、私の感謝の言葉は足りないと思って居る。

 ここに更めて、その人達に心よりの敬意を捧げる。

 此の書は私の宿痾の眼病のために、出版が遅れて、今日漸く、日本に帰って来てから、

 八ヶ月目に稿を綴ることになった。

 そして五分の四まで書いて来て、また眼病のために寝込んでしまった。

 それで後は、病床で口述したものを、筆記して貰った。

 その為めに、意の尽せない處もあるかも知れないが、赦して貰ぴ度い、と思って居る。

 私は、世界を廻つてゐる中に、感想録を詩の形にして、地圖の裏や、手帳の中に書き込んで、

 日本に持って帰った。

 それを私は、昨冬、詩集「永遠の乳房」の一部分に収め、発表して置いた。

 この書と合せて読んで貰へるなら、どんなに私にとって、幸福か知れない。

   一九二六・三・廿八

                  賀 川 豊 彦

                  松沢村のアンペラ小屋にて
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