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連載:賀川豊彦の著作ー序文など(第98回)

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「明石城」(今日のブログ「番町出合いの家」http://plaza.co.jp/40223/)


   賀川豊彦の著作―序文など

      わが蔵書棚より刊行順に並べる
 
              第98回


     『日輪を孕む曠野』

     昭和15年3月7日 大日本雄弁会講談社 285頁


 本書『日輪を孕む曠野』は、講談社の雑誌『現代』の昭和14年1月から昭和15年3月まで連載された「満州移民」を題材にした作品です。

 この作品も『賀川豊彦全集』には収められていません、これには、賀川の「序」が書かれています。

 なお、本書は初版が出て3ヶ月後の昭和15年6月に再販が出ていますが、奥付に○で囲んだ「停」の印が押されています。これは販売停止の印なのかどうか。前に挙げた『約束の聖地』は4頁分が、その筋より切り取る措置のあったことを指摘しましたが、今回の「停」の意味合いはどういうことでしょうか。





     日輪を孕む曠野

         序


 春風に氷土は解け、梅雨に黄塵は鎮まる。満州こそは不思議なところである。公主嶺を境にして南に落ちた水は遼河に注ぎ、北に落ちたものは松花江にあつまる。そして図満江は長白山脈に並行して東に流れ、屈曲して朝鮮に水そそぐ。

 満洲の文明は、これらに黒龍江を加へて、四河の文明であるとも言へる。曠野数千哩、昔は遼河の流域全部が渤海湾につづく内海であったことを、地質地圖によって知ることが出来る。しかし、地層の隆起によって、蒼海変じて豆圃と化した、それは岩石の物語る地球の歴史によってよく分る。

 満洲國の最北端は北緯五十三度である。塞気を恐れる熱帯人ならいざ知らす、雪を恐れない人間ならば満洲こそば珍しい肥沃の土地である。しかし、最近三十五年間、ここに移住した漢民族は南方に偏在し、公主嶺を越えて沃土数千平方哩の地域は、のろと羚羊と野鴨の居住に任され、土を耕してゐるものは僅かである。この無住地帯に人類が移住することは、天の與へたる恩恵である。

 しかし、未開拓地を開墾するに当たって、土を愛せざる者が権利のみを主張してその地に徒に境界線を張ることは許されない。『柔和なる者は幸なり、その人は地を嗣ぐことを得べし』とキリストもいうてゐる。土を愛する者はまた隣をも愛さればならぬ、殊に氷土を溶かしてそこに日輪の光熱を導かんとする者は、愛隣、愛神の原理に基き、隣保相愛の国土を建設すべきである。即ち満洲にこそ五族協和の精神が具現さるべきである。五族協和の精神は満洲国民のみならす、世界到るところに培ふべき人類生活の根本原理でなければならぬ。

 日本民族も満州に発展するがよい、支那民族も満洲國に発展せよ、朝鮮人も蒙古人も白系ロシア人も満洲國に殖えよ。五族協和の精神によって相抱け。大陸は廣い、曠野は日輪を孕む、満洲國こそ世界歴史に新しい一頁を加へる愛の國でなければならぬ。

 私は満洲移民を祝福する。そして私は東亜の五民族をも同時に祝福する者である。

    二六〇〇年一月三十一日                  ’
  
      賀  川  豊  彦
    
          摂津武庫郡瓦木村にて
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