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連載:賀川豊彦の著作ー序文など(第133回)

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「神戸・相楽園にて:茶室<浣心亭>」(今日のブログ「番町出合いの家」http://plaza.rakuten.co.jp/40223/)



   賀川豊彦の著作―序文など

      わが蔵書棚より刊行順に並べる
  
              第133回



   賀川豊彦の寄稿歌集

   『発車―基督者詩歌集』


  昭和30年12月20日 キリスト新聞社 301頁


 本書『発車―基督者詩歌集』は、昭和26年創刊の雑誌「草苑」の同人誌のメンバーが、標題の詩歌集を企画し、キリスト新聞社より刊行されました。

 この同人には賀川豊彦のほか、賀川と歩みを共にした人々、例えば由木康・三浦清一・本田清一・河野進・山室武甫などが加わり、雑誌の出版を重ねていました。

 本書は、田中忠雄の装丁で箱入りの上製本、1000部の限定出版です。編集代表の松本宗吉氏によって、長文の「基督教詩歌略史」と「後記」が収められています。

 ここでは箱表紙・本体表紙などと共に、武藤富男の「序」並びに賀川豊彦の掲載箇所を取り出して置きます。加えて、武藤の賀川全集で触れられている短い文書も添えて置きます。





        歌集『発車』


  賀川豊彦

 明治廿一年七月十目神戸市の生れ。基督教伝道者、また社会事業家として知られ、協同組合運動の先駆者として「無血精神革命」を主唱、現在日本社会党顧問、キリスト新聞社社長。各種公職の数は列挙のいとまがない。詩集『涙の二等分』『銀色の泥蔀』の他『死線を越えて』『一粒の麦』『キリスト』等小説集、童話集、論文集等著書百五十余冊。『草苑』同人。            (東京都世田谷区)



        あゝ日本は降伏した

      南に去りしもの遂に婦らず
      北に往きしもの遂に戻らず
      空に飛立ちしもの
      永遠に帰らず

      海に行きしもの
      まだ姿を見せず
      母親は戦死せし子等の写真を胸に抱きて
      敗戦を迎え
      妻らは父を失ひし
      子等の手を引いて

      終戦の詔勅に耳を傾く
      英雄は地下に沈黙し
      憂愁は国土を蔽ふ
 
      あゝ日本は降伏した!

      涙の洪水に
      飢民は押流され
      咽び声は街頭に漂ふ

      平和よ、おまへの扉は
      心の内側に開いてゐる!
      光栄よ、おまへを探すものは
      霊魂の内側に尋ねるべきだ
      あゝ日本は降伏した

      それは予期されし如く来たり
      予期された結果を生んだ!
      歴史は透明なものだ
      歴史は硝子張りの室だ
      見透しがきく万化鏡だ!

      あゝ日本は降伏した
                  一一九四五・八・二六-



        森の小笹よ途ひらけ

      松よ 檜よ 杉の木よ
      間々田の森に 呼吸する
      鳳凰(ほうわう)の子らを 翼(はぐく)めよ!

      世紀の焔 身を焼けど
      あゝ胤凰は 甦る
      灰塵よりぞ 甦る!

      苦難の嵐 猛る時
      静けき森ド 巣籠れば
      梢の鳥よ 糧運べ!
 
      今日勤労に 身を固め
      日本のなやみ 背負ふ身に
      森の小笹よ 途ひらけ


   憲兵隊が私を殺すと云ふ注意を受けて森に隠れし時、詠ひし歌
           ――一九四五・八・二五、栃木県間間だ田の森にて


        日本娘

      試練は汝をきたえ
      苦悩は汝をねる
      逞しき日本の娘よ
      封建の鉄鎖、汝の胸より落ち
      日輪は汝のために輝く
      秀麗の子、日本娘
      逞しくも立ち上り
      裾(すそ)短く、腕まくし上げ
      活溌に労作に急ぐ、日本娘

      終戦と共に涙をぬぐい
      微笑もて颱風をむかへ
      地辷に、地震に、低き下駄穿(は)きて
      髪の毛も短かく
      永遠の処女の悦びを持ちつつ
      青空に躍る光波を浴びて
      「水遠」に接近するその柔和なる心
      日本娘よ、海洋の子よ!

      数多き娘ら、駅より溢れ出で
      さっそうと群をなして
      家路に帰り行く女学生、工女たち―
      身軽きジャケット、靴下もはかず
      胸をはり、肩をいからせて歩む
      若きしとやかなる姿
      汝らの母が
      重き帯にしばられ
      長き袂に苦しめられし
      昔を忘れ、敗戦を区劃として
      勇躍(ゆうやく)立ち上る勇しき姿!
      過去を葬り、未来に生き
      むくむくと春の若芽の如く
      立上るそのかんばせ!
      日本の為めに
      私はおまへ達を祝福しよう
      日本娘-―
         ―一一九四七・一〇・三 出雲今市にて


        林を縫ふ小川

      林を縫ひ 森を貫いて
      釧路(くしろ)川は 走る
      摩周(ましゅう)山麓 白樺の原生林をかすめて
      八月・・・秋、北海道の高原
      永遠に下へ下へと 俗塵を押しやる
      藍の色 絲葉にはゆ
      弟子屈(でしかが)の宿 静かな朝!
                ―北海道阿寒国立公園にて


        駿馬の子を 借りて来い!

      ラッパに響け、角笛よ呼ばはれ
      日本の再出発だ
      キリストの約束で、三千年の暗黒を打破り
      平和と希望の 解放の時が来た!

      軒の雀も 野原のひばりも
      声を合わせて 呼はるが善い
      神の出御だ、光明の日だ!
      坑内深く うづくまる鉱夫も
      海洋遠く 波濤にもまれてゐる
      ゼベダイの子等も 見上ぐるがよい!
      そら、あそこに、希望を教へる
      ベッレヘムの星が
      光ってゐるではないか?

      罪に泣く 日本の民衆は
      キリストの出御に 間に合せるために
      綜欄の杖を折って来い!
      そして驢馬(ろば)の子を 引いて来るがよい!
      これからキリストが その驢馬(ろば)に秉って
      東京に行進せられるのだ!
                      一九五四年

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