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連載:賀川豊彦の著作ー序文など(第136回)

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「神戸・須磨離宮公園にて」(今日のブログ「番町出合いの家」http://plaza.rakuten.co.jp/40223/)



  賀川豊彦の著作―序文など

     わが蔵書棚より刊行順に並べる
        
            第136回



    『賀川豊彦集』(現代知性全集39)


      昭和35年2月27日 日本書房 283頁


 本書『賀川豊彦集』(現代知性全集39)は、上記のように昭和35年2月27日の奥付で出版されましたので、賀川豊彦は前年(昭和34年)「1月6日に急性肺炎より心筋梗塞症を併発して病臥し今日に至る。」(本書巻末の「年譜」記載)とあるように、4月23日に自宅において召天するおよそ二月前のことです。

 本書の「序」は「1960年2月」と記されていますから、この序文が賀川豊彦の最後の遺稿と見られるかもしれません。この序文は拙著『賀川豊彦の贈りもの』でも取り上げたことがありますが、ここまで「作品の序文など」を連載してきた最後にふさわしい、賀川ならではの文章です。

 本書は「一粒の麦」「表現の世界」「黙想断片」「愛の科学」「自然が芸術となるまで」の5章構成ですが、編者の名前はあげられていません。賀川生前の最後の「年譜」も貴重なものです。当時、『賀川豊彦伝』を纏めた横山春一氏も、賀川と歩みをともにしてきた村島帰之氏も、また『百三人の賀川伝』を準備中だった武藤富男氏もご健在でしたから、本書の編者として考えられますが、本書の性格からして、恐らく鑓田研一氏がこの作業に当たったのではないかと、勝手に想像していますが、どうでしょうか。

 なお、本書は『人物書誌大系:賀川豊彦25』によれば、昭和35年8月20日付けの版並びに昭和35年5月15日の「召天記念版」が出ているようですし、先年、内容はそのままにして復刻版も刊行されています。





         現代知性全集39『賀川豊彦集』

               序


 意識を持つ者が意識の本源を尋ね、宇宙意識と自己意識を連絡せんとする努力が発生する。この努力が本書になった。

 大きく分けて、東洋流の意識運動は、自己以外に意識の本源を探がし、西洋の宗教哲学は、自己のうちに宇宙を探がさんとする努力であった。この二つの傾向を一つにせんとするのが我々の任務でなければならぬ。

 生まれ落ちてから今日まで我々は、一種の大砲の方針として存在する。刻々の生活は、実弾発射の訓練であると考えてよい。世界の宗教史はこの訓練の上にひろがっている。あらゆる努力、あらゆる修業は、この範囲を出ない。このうちで最も純粋なものは歴史的発展の記録を残している。これが経験である。それで我々は、おごそかな気持でこの経験をしらべる、経験は七種類に分類出来る。

   一、神を知らんと努力した者
   二、神の子にならんとした者
   三、自然を通じて宇宙の本体と同化せんとした者
   四、歴史科学のうちに自然以上のものを発見しようとした者
   五、美及びその類似したものに宇宙の方向を発見せんとした者
   六、善のあらゆる努力のうちに宇宙の悪を克服せんとした者
   七、最暗黒の奥にも失望しない努力を払わんとした者

 素直にこの七つの方式を調べると、一つびとつ特長を持っている。私は組織的に記述していない。確かにこの書には、筋道を書いている。宗教で云う救いというのは結局、悪が勝利でないと云うことを証明せんとしている。キリスト等は、義のために責められる者は幸福なり天国はその人のものなりと、悪の世界を慴れないで、突進すべきことを教えた。ここにキリストの強い信仰があった。

 私は凡ての行者、凡ての経典に教えられて、路傍の雑草にも生命の生き抜く道が何処にあるかを知らんとしている。それで私は、科学と宗教を一つにし、芸術と倫理生活を統一せんと努力して来た。結局私自身の日常生活が、神に向って発射された砲弾である。この砲弾は神が準備し私がその引き金を引かねばならぬ運命にある。それで私は、神を信じ、霊魂の不滅を信じ、神の国の実現を刻々待つているのである。

   一九六〇年二月
       
            賀 川 豊 彦
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