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連載:賀川豊彦の著作ー序文など(第186回)

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「鳴門:漁師料理<びんび家>」(今日のブログ「番町出合いの家」http://plaza.rakuten.co.jp/40223/)


       賀川豊彦の著作―序文など

      わが蔵書棚より刊行順に並べる
 
            第186回


       徳憲義著・賀川豊彦序『詩集 愛は甦る』

  
 徳憲義氏は前著(大正15年10月、新生社)のあと、昭和4年6月に『詩集 愛は甦る』を同じく新生社より上梓しています。これにも賀川豊彦の序文が収められていますので、ここではそれを取り出して置きます。



            序


 南加州の空は曇ったことはない。熱帯でなければ見られないやうなヘゴの並木さへ立ち並んだ處がある。そこはまだ新開地そのものの、何となく初々した處がある。其處に徳憲義氏が落付かれて、かれこれ足掛六年になる。生一本なそして純情の愛の行者としての同氏は、南加州の荒削りの殖民地から奔放な呼聲を我々にかける。彼は変わらざる熱情の人であり、深い同情の持主である。彼はナザレの聖者に身を寄せて、預言者ホセアのやうな体験を嘗めつつある。そこに、彼が「愛は甦る」ことの宣言をする理由があらう。

 私の同志として徳憲義氏は、精神的に、物質的に、故國に始められた大阪の労働者教化事業を、過去五年間、五千哩の郷里を離れて相も変わらず応援してくれた。私は彼の深き同情に、言葉で尽くし得ない感謝を持ってゐる。私は、十七八年前、徳氏と一緒に約二年間、神戸の貧民窟で共に宗教運動をした想出をもって、同氏の著作の、彼の体験より滲み出てゐることをいつも考へてゐる。「文は人なり」といふが、私は徳氏の場合に於て、特に、この事の真理なることを痛感するものである。この書物は、同氏の思想の一半面を示すにしか過ぎないであらう。同氏が更に進んで、深い経験より多くの宝石を堀り出されることを私は信じてゐる。然しこの書物を読まれただけでも、多くの人は必ず南加州の空の如く、輝かしい人生の晴れ渡った空を発見することを私は信する。いや、長い人生の旅路に疲れかかった者にすら、ヘゴの並木は、彼の上に影を落すことを忘れないといふことを、この書は教へてくれる。南加州の空は永遠に明るい。そして明るい徳氏の魂と筆は、我々を更に、明るい世界に導く。

    一九二九・四・四

          摂津武庫川村塾にて
                            賀  川  豊  彦
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