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連載:賀川豊彦の著作ー序文など(第191回)

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「神戸・長田の海」(今日のブログ「番町出合いの家」http://plaza.rakuten.co.jp/40223/)


       賀川豊彦の著作―序文など

      わが蔵書棚より刊行順に並べる
 
             第191回



     神戸淳吉著『歩もうともに手をつないでー愛の心を実践しつづけた賀川豊彦』

  
 標記の作品は、「PHPこころのノンフィクション(小学上級以上)」の一冊として、賀川豊彦生誕百年記念の年(1988年)に、PHP研究所より出版され、広く読まれなものです。

 著者の「あとがき」には、貴重なことばが添えられていますので、ここではそれを取り出して置きます。絵は上総潮さんです。



                あとがき


 太平洋戦争中の数年間、私は賀川豊彦先生のお宅でお世話になっていました。森の家といって、東京、世田谷の先生のお住まいから少し離れたところにある林の中の一軒家です。

 ここには私のような寄宿生や、地方からこられた方の宿舎にあてられ、常時十名はおられたと思います。

 賀川先生のお宅では、戸に鍵をかけないと、どなたかが書いておられましたが、森の家でも鍵の記憶はありません。森の家は名前のとおり林の中の一軒家の平家建てで、雨戸はなく、だれかが入ろうとすればどこからでも入れるという、おそろしく不用心な家でした。

 私はここから先生の関係の工場へ通っていましたが、はじめの一、二年はほとんどお目にかかったことはありません。戦時中でも、あの三ベン旅行で、全国を伝道しておられたためです。

 ところが、ある時からお宅におられる時が多くなり、森の家へみえると、神戸でうつったトラホームのため、よくルーペ(拡大鏡)を手に本を読んでおられました。

 いま思うと、戦争激化に伴い、先生の平和への説教、講演に、警察や憲兵隊が危険を感じ、非公式ながら禁足をいいわたされたためのようです。

 その頃、工場から帰った私は、よく賀川先生に本を読まされました。先生は目が悪く、ことに夜は鳥目の状態のようで、代わりに私か声を出して読むのです。

 ところが、先生の講演などでもわかるように、先生は話題が非常に豊富で、関心の対象かきわめて広範です。
 天文、地学から工学、動植物、建築……と、はなはだジャンルの広い読書で、それらの本を、うすぐらい灯火管制のもとで読むわけです。

 文学青年気どりの私には、どの本も異質で、まったく味気ないものばかりでした。そのせいか、時々先生から「神戸君」と声をかけられました。はっと気づくと、どうやら一、二行すっとばしていたようで、先生は眠ったようでいながら、ちゃんときいておられたのです。

 また、私か童話作家志望と知って、「これ、ぼくの本だよ」と、一冊先生の童話をいただいたことかあります。

 ところが、なんとも貧乏くさい内容で、ファンタジックなものを書きたいと考えていた私はおおいに不満でした。率直に感想をのべると、「神戸君、日本ではまずしい人の方が多く、そのためにもこれは、ぼくには一番関心のある題材なんだ」

 と、じゅんじゅんとたしなめられたことを、いまもって忘れられません。

 賀川先生に対するこうした個人的な思い出はつきないのですが、このたび機会を与えられ、先生の伝記を書かせてもらったことは、なによりもの喜びです。

 なお、取材にあたり、先生のゆかりの地をまわり、また、ご関係の方々からお話を伺い、いろいろとお教えをうけました。

 また、多くの先輩の著書や、雑誌などを参考にさせていただき、これも非常にありかたく感謝しております。共にあつくお礼申し上げます。

 〈お教えを受けた方々〉

賀川豊彦記念松沢資料館館長賀川純基氏、本所賀川記念館理事長雨宮延幸氏、主事渡辺義也氏、賀川記念館館長村出盛嗣氏、谷口治道氏、日本キリスト教団東駒形教会牧師雨宮栄一氏、同志社犬学宗教学部長深田未来生氏、日本生活協同組合連合会名誉会長中林貞男氏、同参与勝部欣一氏、灘神戸生活協同組合組合長高村勣氏、キリスト新聞社編集局長大浦八郎氏他 (順不同)

 〈参考資料〉

『賀川豊彦全集・全二十四巻』(キリスト新聞社)、『女中奉公と女工生活』賀川はる子(福永書店)、『賀川豊彦伝』横山春一(警醒社)、『評伝賀川豊彦』武藤富男(キリスト新聞社)、『人間賀川豊彦』黒田四郎(キリスト新聞社)、『私の賀川豊彦研究』黒田四郎(キリスト新聞社)、『炎は消えず・賀川豊彦再発見』林啓介編(井上書房)、『百三人の賀川伝』武藤富男編(キリスト新聞社)、『神はわが牧者』田中芳三編(イエスの友大阪支部)、『陶工』深田種嗣牧師帰天十周年記念会編・刊、『コープさん・灘神戸生協の六十年』(毎日新聞社神戸支局)、『劇画・日本生協運動の父賀川豊彦物語』松本清子(灘神戸生活協同組合)、雑誌「雲の柱」(雲柱社)、雑誌「火の柱」(イエスの友会)、雑誌「ボランティア」(賀川記念館)、雑誌「協同思想研究」(灘神戸生協・同研究会)、雑誌「生協運動」(日本生活協同組合連合会)、雑誌「キリスト教社会問題研究」(同志社大学人文学研究所)

  昭和六十三年一月
                              神戸淳吉



著者・神戸淳吉(かんべ・じゅんきち)

1920年東京生まれ。日本大学専門部社会科卒業。社会事業大学の職員をつとめたのち文筆業につく。著書に『愛をつたえた青い目の医者・ヘボン博士と日本の夜あけ』PHP研究所』『キリスト』(講談社)『新渡戸稲造』(あかね書房)などがある。現住所〒351朝霧市根岸台1-9-55

画家・上総 潮(かずさ・うしお)

1926年東京生まれ。日本画を学んだのち出版美術の世界に入る。作品に『志摩の海にかけた夢・真珠づくりに一生をささげた御木本幸吉』『幸せをありがとう・手足をなくしても明るく生きる田原米子』(以上PHP研究所)『豊田佐吉』(講談社)などがある。現住所〒108東京都港区三田4-12-24泉荘



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