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KAGAWA GALAXY 吉田源治郎・幸の世界(9)

第9回 源治郎の処女出版『児童説教』 (日曜世界社、大正7年)

           児童説教

第7回の終わりに、次は京都伏見における源治郎と幸の新しい生活(結婚家庭)に進むことを予告していた。ところが嬉しいことに、吉田摂氏から新たな資料をお預かりした関係で、急遽前回(第8回)は、源治郎の中学時代に立ち戻り、若き日に書き残していた重要な論稿の一部を紹介することが出来た。

彼の非凡にして豊かな文学的な表現力がそこには遺憾なく発揮され、当時の校友会誌を盛り上げ活気付けていたことを思い巡らしてみた。それはまた第7回で見た如く、彼は明治学院へと進学し、さらに意欲的に研鑽をかさね、大きく飛躍を遂げていくのであるが、その実力の一端が、愛する妹・なつゑの急逝に遭遇した時に、彼自ら纏め上げた自家製小冊子『又逢ふ日迄』にも繋がっていたことを、あらためて確かめることができた。

ところで、今回お預かりした資料を眺めていると、源治郎が京都伏見の教会の牧師として赴任する前、つまり明治学院の学生としての研鑽中に、今回の表題とした「源次郎の処女作『児童説教』」の執筆にも取り掛かり、着々と出版準備を進めていたことが判ったのである。

というのも吉田源治郎の著書としてのこの処女作品は、巻頭の「序」に「1917年1月11日聖日夜 東京の郊外近き僑居にて」と記されていることを考えれば、妹・なつゑの亡くなる半年以上も前に、この草稿はほぼ完成していたことになるのである。

源治郎は翌年(1918年)3月に明治学院を卒業し、本書「序」に続いて加えた「編者再白」には「1918年4月最終の夜伏見の寓居にて誌す」とあるのを見れば、彼は卒業後すぐ4月より、赴任先の日本基督教会伏見教会で、この「編者再白」を書き上げているのであろう。

こうして彼の記念すべきこの著作は、それまで日本では類書のなかった『児童説教』として同年6月、日曜世界社より上梓されるに至るのである。

幸いにも本書は、一麦保育園顧問の梅村貞造氏が大切に所蔵しておられたものである。

冒頭に挙げたようにシンプルな表紙で、背文字は赤い文字が印刷され、本体は195頁であるが、奥付の後に5頁分の英文の目次が付されている。背の赤い文字をみれば、表紙カバーはなかったかも知れない。

ご覧のように表紙の著者名が「吉田源次郎」となり、奥付の著者名も同様に間違っているというのも珍しく、ご愛嬌というところであろうか。

    本書「序」と「編者再白」

本文1

本文2

本文3

源治郎はなぜ最初の著作に「児童説教」という主題を選んだのか詳細は判らないが、中学時代から日曜学校の教師として熱心に関わっており、その意義を自覚していたことと、「序」に「此書の編述を激励し、萬障を排して世に出して下さった畏友西阪日曜世界社主筆に満腔の感謝」を記しているように、発行者である西阪保治との出会いも大きいように思われる。

西阪は、1909(明治42)年、大阪で日曜世界社を設立し、日曜学校用教材を数多く刊行しており、本書末尾を見ても、新刊「聖書唱歌」(作歌・由木康、作曲・田中寅之助、装丁・竹久夢二)なども出しているようである。

第3回で、日曜世界社発行の『基督教家庭新聞』昭和2年分合本について取り上げて見たが、吉田源治郎と日曜世界社の西阪保治とのその後の長期に続くかかわり等は、KAGAWA GALAXYを訪ねる上で、新たな興味を搔き立てるものである。このあたりのことに関してご存知の方があれば、ご教示を仰ぎたいところである。

  短編説教2編「何時(なんじ)だろう?」「星辰(ほし)と彗星(すいせい)」

所蔵しておられる梅村氏は、これまで教会学校の説教によく活用されたようであるが、何分本書は古書店でも探せない希少本である。せめてここでは本書本編から、短編説教2編だけでも紹介させて頂きたいと思う。まさしく彼の「GALAXY」の視界が伝わる作品である。

21世紀のこんにちは、源治郎の時代、また賀川豊彦の時代を大きく飛び越えて、私たちは、新しい時代=エコ生代(the Ecozoic Era)への大転換の時を生きているのであるが、源治郎の見ている世界は、現在に繋がる豊かな感性を伝えているものである。
 
the Ecozoic Era に関する哲学的省察を深めているのは、私の身近には延原時行氏がいる。同志社時代の先輩で、もぐら暮らしの私とは違って、延原氏は米国クレアモントやベルギーのルーヴァン大学などで教鞭をとり、敬和学園大学名誉教授、現在「独立国際研究所:東西プロセス研究企画所長」として国際的に活躍中であるが、ただ今、トマス・ベリーの世界的名著『偉業―未来への地球人類の道』 The Great Work : Our Way into the Future (New York : Three Rivers Press, 1999)の邦訳作業に取り掛かり、その訳業の完成と出版が待たれているところである。

ともあれ、資料紹介のかたちであるが、以下の二つの短編説教をとおして「源治郎の世界」を訪ねて見ようと思う。

      (2010年5月26日記す。鳥飼慶陽)(2014年6月14日補正)

   短編説教 何時だらう?

説教1

説教2

説教3


  短編説教 星辰(ほし)と彗星(すいせい)

短編説教1


短編説教2

















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