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KAGAWA GALAXY 吉田源治郎・幸の世界(26)

    家庭新聞

    第26回 『肉眼に見える星の研究』(6)
        恒星社版『肉眼に見える星の研究』(昭和24年)

吉田源治郎の代表作の一つ『肉眼に見える星の研究』は、ここまで見てきたように、初版の時から幅広い読者を得て、長く読み継がれて来た作品であった。それは、世界にもよく知られていた日本の天文学者・山本一清との深い友情の中から産み出された、「アマチュアの星道楽」として自ら生きた吉田源治郎ならではの、真に稀有な労作であった。

山本一清は、1928(昭和3)年に京大花山天文台が設立されると台長に就任し、その10年後、1938(昭和13)年、京大を退官して、私設天文台の「山本天文台」を設立する。そして彼は、敗戦後1959(昭和24)年1月16日にその生涯を閉じるまで、プロの天文学者と源治郎などアマチュア天文家の橋渡しをし、天文学の広範な普及・発展に大きく貢献した先達として、人々の記憶の中にある。

さて、今回取上げる恒星社版『肉眼に見える星の研究』は、山本一清の生前に準備され、没後10ヶ月経て出版されている。本書は初めて表紙にも奥付にも「吉田源治郎・山本一清共著」となっている。

星の研究とびら

星の研究奥付け

本書の「序」は、「昭和23年3月18日夕 西宮市高木字南芝781、一麦保育園にて」吉田源治郎によって書かれているのと、この「序」には、「本書は今から20数年前(大正10年8月20日附)<鳥飼註:大正11年の誤りと思われる>初版を刊行したものであるが、今般、その全部に大増な改定を加えて、ここに「復興版」として送り出すことになった。

この新版の編輯に当たり、「元の京都大学教授(原田上天文台長)理学博士山本一清氏の激励と好意の寄興が、どれ程深いものであったか--即ち、共著者たるの責を負い原稿全部を綿密に校閲、改修し、特にこの新版のためには東洋の星座及び星名を増補し、加之、普通の類書にはほとんど記載されていない珍しい星座の数々を随所に収録して下さったのである。」と特記されている。

ともあれ、本共著の刊行を待たずして、山本は惜しまれつつ召されることになった。

山本は、本書の「序編」のはじめに、下の言葉を書き残している。
これを読むと、最晩年の彼自身、星空の美しい山村にあって、星を眺める星道楽の親分であることが、直に伝わってくる。

山本の序篇

     恒星社版の「序」

現在本書は、初版・改版にも増して入手困難になっているので、4頁分の源治郎の「序」をここに収めて置きたい。
以前触れておいた賀川豊彦の詩を部分引用した詩集『涙の二等分』も、ここには明記されている。

序1

序2

序3

序4


         由木康の「序詩」のこと

先の「序」の末尾に「序詞寄稿の由木康氏及び作曲者二葉薫氏」への謝意が記されている。初版と改版までは、由木氏の「序詩」の上に津川主一作曲の楽譜があったが、ここでは次の「序詩」のみになっている。

由木の序詞
    
この「序詩」を見ると、初版と改版までと違う箇所がひとつある。それは一番の末尾「にげるものを」のところが、今回は「きえるものを」と変更されている。そして初版と改版までは、作曲者が津川主一氏であったのが、ここでは「二葉薫氏」への謝意となっている。

この事に関連して、前に紹介した山本天文台の理事・山本進(山本一清のご子息)の「吉田源治郎牧師の憶い出」(1984年6月)の中に、「この歌は私も若い時に習ったことがあるが、掲載してある津川主一氏の曲(1924年版)も二葉薫氏(本名:小泉功、東京都中野区)の曲(1949年版)も、私の覚えているものとは少し違っているように思える。別の曲があるのかと思ったが、高戸佐和子氏(長野市)が日本キリスト教団賛美歌委員会に照会された結果によると、作曲はこの2つしかない、由木氏は津川主一氏のものを好まず、二葉氏に新曲を依頼された、ということであった。」と記されていた。

但しこの恒星版には何故か、二葉氏の楽譜は載っていない。讃美歌に詳しい方なら、由木の二葉に依頼した楽譜がすぐに出てくる筈であるが、ここではお見せ出来ない。代わりにといえばへんであるが、由木康作詞・二葉薫作曲の「ねがひ――ちひさい時から」を収めて置きたい。昭和15年に日曜世界社より二葉薫著『子供の歌』として出版された中にあるものである。『子供の歌』は2輯まであり、改めて取上げる予定である。

楽譜
    
ところで今回の最後になるが、冒頭の「基督教家庭新聞」(昭和2年12月号)に、源治郎の「クリスマス天文講座:「その星」の研究」が掲載されているので、ご覧戴きたい。

        クリスマス天文講座「その星」の研究

クリスマス講座

クリスマス講座2

クリスマス講座3

吉田源治郎の深く関わった「基督教家庭新聞」については、第3回で少し触れているが、この新聞は現在もどこかに保存されている筈である。所在先等ご存知の方は、お手数ながらご教示いただくことが出来れば有難い。 
    (torigai@ruby.plala.or.jpまでよろしく)

手元に『基督教家庭新聞』第20巻(昭和2年分上製の合本)があるが、背表紙には『家庭新聞』とある。西阪保治編輯発行であるこの新聞には、源治郎はもちろん賀川豊彦をはじめとした多方面の寄稿があり、「KAGAWA GARAXY」の宝庫のように思われる。

この合本の中に一枚、第33巻第2号と記されたこの号の「目次」とドイツ語の「我が心には歓喜あり」(ローガン訳詩・二葉薫編曲の楽譜-昭和14年12月27日の記入あり)の入ったものが挟まれていた。

ここにこの「楽譜」と共に「目次」を眺めていても、二葉薫、賀川豊彦、三浦清一、長谷川初音、ローガン、吉田源治郎などの名前が並んでいる。これも最後に「おまけ」として収めて見る。

『肉眼で見える星の研究』が延々とここまで続いてしまったが、この項はあと1回で終わり、次へ進みたいと思っている。

  (2010年7月1日記す。鳥飼慶陽)(2014年7月4日補正)

        基督教家庭新聞(第33巻:第2号)

キリスト教家庭新聞楽譜

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